「頭が真っ白になっていて」と母親の指示のまま
さらに、喜久郎取締役の「操り人形ぶり」が露見する場面もあった。これまでの説明を覆した理由を質され、喜久郎取締役が言葉に詰まると、佐知子取締役から
「頭が真っ白で、頭が真っ白で…。(数秒の空白)頭が真っ白になっていて、頭が真っ白に…」
との声。その直後に、喜久郎取締役は
「はい、あのー、初めてのこういう記者会見という経験でございまして、あのー、まぁ頭が真っ白になっていたといいましょうか…」
と、本来は自分の話すべき場で、母親の言葉をまさに「オウム返し」してみせたのだ。
また、今回の不祥事で、佐知子取締役の夫である正徳社長(74)、喜久郎取締役、その弟の尚治取締役(39の3人は引責辞任する一方で、佐知子取締役自身は残留を表明。
「佐知子さんは取締役を辞めないんですか」
と聞かれると、喜久郎取締役への質問はよく理解できていたにもかかわらず、奇妙なことに
「ちょっと耳が遠いんで聞こえないんですけども…」
と返答。臨席した弁護士から質問内容を耳打ちされて、やっと
「本来なら退任しないといけませんけども、現状を踏まえた場合、皆様のお許しがいただけるならば、残らせていただいて、なんとか再生させていただきたいと思っています」
と、続投の意図を説明した。
佐知子取締役は、創業者である故・湯木貞一氏の3女。父への思いについて聞かれると、
「父に対して申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます。『お前はなんてひどいことをしたんや』と言うて叱られると思います」
と涙を流した。涙を流して詫びる対象は消費者ではなく父親、と取られかねない。これで消費者の「お許し」がもらえのだろうか。