「人は何時間働くと過労死するのか?」。そんな議論がネット上で展開されている。きっかけは、トヨタ社員に過労死が認定されたという2007年12月1日の報道。このケースでは1カ月の残業時間は106時間だった。過労死を含む突然死は国内で1日に150件あると言われ、議論は「好きな仕事かどうかで変わってくる」というものや、逆に「好きな仕事をしている時こそ危ない」など様々だ。
「自分の身を守るためにも好きな仕事を貫く」?
ブログでは賛否両論が展開されている
このトヨタ社員は、残業中の02年2月9日に不整脈で倒れ死亡した。倒れる直前1カ月の時間外労働が155時間25分あったとし、遺族側は過重な労働が原因と主張した。しかし、豊田労働基準監督署長は、倒れる直前1カ月の時間外労働は52時間50分で、遺族側が主張している時間には、同社の「QCサークル活動」などが含まれていて、労災とは認めず不支給処分にした。遺族は提訴。07年11月30日に名古屋地裁は、活動の一部も業務と認め、時間外労働時間を106時間45分と認定。不支給処分を取り消した。
ベンチャー・マネジメント代表の小林英二さんは、07年12月4日の自身のブログに、「人は何時間働くと過労死するのか?」という記事を書いた。小林さんはサラリーマン時代に 月400時間を超える労働が数年続いていて、
「仕事のプレッシャー、過度な労働等から視野が狭くなっていき、自分から死のうと思ったこともありました」
など、トヨタで起きた「事件」は人ごとでない、と書いている。さらに、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案が通過する可能性を示唆し、ますます過労死が増えていくのではないか、と危惧している。「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは、ホワイトカラーを中心に特定の職種に限っては、「1日8時間、週40時間」の労働時間規制を適用せず、残業代を支払わない制度のこと。
そうした中で、小林さんは現在、サラリーマン時代よりも労働時間が2割増えているのだが、身心は健全、充実した日々を過ごしているのだという。それは、「楽しく働けている。好きな仕事をしていると感じる」か、「イヤな仕事をやらされていると感じる」かの違い。
サラリーマンが今後さらに過重な労働が要求されそうな状況の中、自分の身を守るためにも
「好きな仕事を貫かなければいけない。楽しい仕事をしていかなければならい」
と書いている。