海外進出企業サポートのためにも海外展開を積極化
その一方で、サブプライム住宅ローンの焦げ付き問題をきっかけに欧米の金融機関が疲弊している。米国ではサブプライム関連の損失が1000億ドル(12兆2000億円)に上るともいわれ、メリルリンチやシティグループ、さらにはモルガン・スタンレーまでも経営トップが引責辞任を余儀なくされているなかで、日本の金融機関は三菱UFJフィナンシャルグループなどの大手銀行6グループの損失で約1000億円。信用金庫等まで含めても1兆3300億円(9月末)と、米国と比べていたって軽微で経営陣のクビが飛ぶほどではない。
ある証券系のアナリストは「邦銀は運がよかっただけ」と話す。この十数年来、日本の金融機関は不良債権処理のために海外業務から撤退、あるいは縮小していて、海外で仕事をしたくてもできなかったといっていい。サブプライム問題についても、「米国でちょっと積極的になった野村や、みずほがやられた。バブルの痛手で(米国進出が)出遅れていなかったら、もっとやられていただろう」という。
いまの日本経済を「支えている」のは、トヨタ自動車を筆頭に海外で稼ぐ企業だ。中国やインドもまだまだ資金需要は国内より旺盛で、メガバンクは「海外に進出する企業をサポートする意味からも、海外展開を積極化にする」(みずほCB)と、現地での日本企業の活動支援や現地企業の資金調達などを見込んでいる。サブプライム問題で欧米の金融機関が弱っているうちに、アジアの新興国での営業基盤を確かなものにしておきたいわけだ。