銀行の慢性的人手不足「深刻」 人材確保に一般職廃止が広がる

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   三井住友銀行は2007年12月6日、一般職を廃止し、派遣社員約2000人を正社員として採用する、新しい人事制度を08年7月から導入する考えを明らかにした。2000人もの派遣社員を正社員に移籍するのも異例なら、いわば銀行の「顔」として働いてきたテラー(窓口担当)をはじめとする一般職を廃止するのもメガバンクでは初めてのことだ。

人手不足で支店も出せない、という銀行も

三井住友銀行は一般職を廃止する
三井住友銀行は一般職を廃止する

   「仕事に意欲をもって取り組む女性のモチベーションを新人事制度でさらに高められれば、組織全体が活性化し、お客様へのサービスの質の向上にもつながる」(広報部)としているが、背景には人手不足の解消と優秀な人材の確保がある。日曜日の新聞の求人欄。そこを覗くと、金融機関の派遣社員やパート募集がごろごろ目につく。銀行の人手不足はそんなに深刻なのか。

   J-CASTニュースが複数の銀行に話を聞いたところ、どの銀行も「人手不足は慢性化している」と口を揃える。原因のひとつは、ピラミッド型の社員構成が崩れたことにある。銀行の新卒採用はここ2~3年こそ大量採用に動いているが、不良債権処理に追われた時代には採用を抑えざるを得なかった。そのため、30歳台半ばから下の年齢層の人材が不足。「若い、これからの戦力がいないことで組織が沈滞化している。なんとか新しい血を、と思っているが集まらない」(ある地銀の幹部)という。そのために「支店が出せない」という銀行もあって、経営計画に支障を来たすほど深刻なようだ。

   ある地方銀行の幹部は、「三井住友のような、一般職の廃止は広がる」とみている。いま銀行はこぞって、富裕層を対象とした預かり資産の獲得、つまり資産運用の相談業務に軸足を置いている。現金の入金や引き出し、振込業務などはすべてATMで処理して、「人」が対応するのは資産運用相談だけ。テラーのような仕事はますます減ってくる。

   相談業務に応えるには高い金融知識に、フィナンシャル・プランナーや保険販売員、証券外務員といった資格も必要なので、しっかりした研修を受けさせなければならない。金融商品取引法の施行で、お客とのトラブルには金融当局の厳しい目が光る。銀行としては「責任」をもって商品セールスを展開する態勢を整えなければ商売にならないわけだ。

   そうであれば、いま働いている人にやる気を起こさせ、頑張ってもらうのが近道だ。三井住友銀行の場合、約5500人の一般職がいる。新たな人事制度ではビジネスキャリア職のキャリアアップコースとして、コンシューマーサービス職MC(マネーライフ・コンサルティングデスク)コースへの道を拓いた。

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