理研ビタミン、ビックカメラ… 「株主優待」で長期保有者優遇続々

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   株主優待制度で、株式を長期保有する個人投資家を優遇する上場企業が増えている。大和インベスター・リレーションズが2007年11月27日に公表した「株主優待実施会社の推移」によると、株式公開企業に占める株主優待を実施する企業の割合は27.1%の1081社(07年9月末現在)。この1年間で新たに導入した企業は105社も増加した。このうち、株式を長期保有している個人投資家を優遇する制度を設けている上場企業は20社になる。数はまだ少ないものの、大和IRは「株主優待を活用した安定株主づくりが活発化している」という。上場企業が株式の長期保有者を優遇する狙いはなにか。

長期保有の優遇はここ2、3年で増える傾向

「理研ビタミン」では自社製品を株主に贈っている
「理研ビタミン」では自社製品を株主に贈っている

   「ふえるわかめちゃん」や「だしの素」などの自社製品を株主に贈る、東証第2部に上場する理研ビタミンは2007年2月に株主優待制度を変更して、株式の長期保有者を優遇する制度を設けた。たとえば、100株以上500株未満を保有する投資家が3年未満で株式を手放してしまうと1000円相当の商品しかもらえない。500株以上で3年未満だと2000円相当、1000株以上で3000円相当、3000株以上で4000円相当と優待制度は株数に応じて4段階で設置しているが、これに加えて3年以上の長期保有する株主は、それぞれ1000円多くもらえる。

   リコーリースは、07年3月から「長期保有者優遇制度」を新設。保有期間が1年未満の株主には3000円相当のクオカードか図書カードを贈るが、1年以上を保有する株主には4000円相当、3年以上は5000円相当と、長期保有者に手厚くした。保有継続期間の認定は毎年3月末で、長期的な観点で保有してほしいという。

   ジャスダックに上場するビックカメラは06年夏の上場とともに株主優待制度を導入。しかし、投資への魅力を高めるため、07年7月に長期優待制度を新設した。たとえば、1株以上5株未満を保有する株主には3000円分のお買い物優待券を贈るが、1年半~2年間(連続3、4回)保有している株主には、プラス1000円分を贈る。これが2年半以上(連続5回以上)の保有になると、プラス2000円分となる。この9月には株式分割を実施したが、優待条件はそのままに据え置き、「その(株数が増える)効果もあって個人投資家にはお得な状況で、8月はあまり売られるようなことはなかったようでした」と説明する。

   大和IRによると、株主優待制度を導入する上場企業は年々増加しており、この1年で新たに導入した企業は105社に上るという。全体で1000社を超えたこともあって、「差別化を図る意味から長期保有者優遇制度を設けるケースが多いようです」と、その背景を話す。保有株数が多いほど、段階を設けて手厚くする企業は少なくないが、それに加えて「長期保有の優遇制度はここ2、3年で増える傾向にある」という。

   企業側には、安定株主づくりによる買収防衛策の側面がないわけではないが、ここ数年で外国人株主が増えてきて、株主構成上のバランスが悪くなっている。それを、個人株主を増やすことで修正したいという思いもある。

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