京大は古代エジプトのエンマー小麦使ったビール
東大、京大とも、ブランド商品は研究・開発の成果として売り出された。東大開発の泡盛「御酒」は、沖縄戦で壊滅したとされた黒麹菌の瑞泉菌が研究のため東大に保存されていることが分かり、沖縄県の瑞泉酒造の協力で1999年にこの瑞泉菌を使って醸造に成功した。また、「東大サプリメント」は、競走馬を育てた実験用配合飼料に含まれていたアミノ酸を、味の素との共同開発でサプリメント化。2006年7月にコミュニケーションセンターで売り始めた。
一方、京大のビール「ホワイトナイル」は、吉村作治早大客員教授(当時)が古代エジプトのエンマー小麦を使ってビールを作ったのがきっかけ。京大の尾池総長が研究室で保存していたこの麦を商品化することを早大に持ちかけ、酒造メーカーの黄桜と共同開発して、2006年4月に発売した。「総長カレー」は、アカデミックな動機ではないが、カレー好きな尾池総長が、生協から親しみのあるメニューのアイデアを要望され、バナナを加えるなど試食を重ねて05年11月に生み出した。
こうしたブランド商品に、大学カラーはどう出ているのか。東大コミュニケーションセンターの吉岡亜野店長は、「泡盛入りの陶器は、焼いて作っています。値段に見合う品質もあるので、高くなってしまうのは仕方がありません」と話す。一方、京大広報センターの担当者は、「泡盛は高いじゃないですか、ビール党にすれば」と話し、庶民派の京大らしさをほのめかしていた。
さて、売れ行きの方は、どうなっているのか。東大の泡盛「御酒」は、04年11月から2万5000本を売り上げた。これは720mlで4200円もする。一方、京大のビール「ホワイトナイル」は、06年4月から07年3月まで330ml450円を7万本売り上げた。次に、「東大サプリメント」は、06年7月から1554円と2205円の2種類を計3万個販売した。一方、「総長カレー」は07年9月から、京都放送と共同開発した630円のレトルト版が1万個以上売れた。
学外・ネット販売が含まれているケースもあり、単純に比較はできない。が、何かとライバル視される両校だけに、今後も様々な機会に比較されそうだ。