動画投稿サイト「ニコニコ動画」が行った映像コンテスト「第1回 国際ニコニコ映画祭」の大賞の映像に、「何が面白いんだ?」「暴力を助長するから削除しろ」などの批判のコメントが殺到した。その結果、一連のバッシングに悩んだ審査員の一人でタレントの松嶋初音さんが、ブログで謝罪した。
本気ともシャレとも取れる意見を交えた選考
審査の様子も「ニコニコ動画」で公開されている
「第1回 国際ニコニコ映画祭」の大賞は、2007年11月25日に発表された。受賞したのは「サンタ狩り」。1分22秒の作品で、応募総数204作品の中から選ばれた。サンタの格好をした男が街を逃げ回り、全身に白タイツを纏った男性二人が追跡。サンタを捕まえると、バットのようなもので殴ったり、プロレス技をかけ、サンタの惨めな様子を写真撮影する、といった内容だ。
最終選考で26作品が残り、手塚眞さん、ひろゆきさん、大月俊倫さんなど6人の審査員が激論の末、大賞は「サンタ狩り」に決まった。この審査の模様は「ニコニコ動画」にアップされている。審査員はコスプレ姿。かなりユルい感じで、本気ともシャレとも取れる意見を交え選考にあたっていた。意見はかなりバラバラで、大賞候補への投票も、1票から、多いものでも3票という大接戦。どれが大賞になってもおかしくなかった。ある審査員は「サンタ狩り」を大賞にすべきだとし、
「アイディアだけで一発ネタで、何の手間もかかってなくて、時間短いし、ケータイかよ?!というくらい画質も悪い。というものが賞を取れるのは、ニコニコ映画祭しかない」
などと発言。「ニコニコ動画」を運営するニワンゴ取締役のひろゆきさんは、最後まで別の作品を押していて、
「『サンタ狩り』はノリで作れちゃう気がするんですよ。国際映画祭ですよ!台湾、マレーシアの人が、エエッー!!というのが(欲しい)」
などと反対したが、突然、
「面白いからそれ(サンタ狩り)でいいや」
「ニコニコ動画」に大賞としてアップされた「サンタ狩り」には、バッシングのコメントが次々にカキコまれる。
「これが大賞はねーよwつまんねーし」
「削除削除削除削除削除削除・・・」
「暴力反対暴力反対暴力反対暴力反対暴力反対・・・」
「人間としての品性疑うな。作者も審査員も」
「糞動画乙」
「カス人間」
一番バッシングを浴びた審査員が、タレントの松嶋初音さん(20)だった。理由は審査員の中で最も「サンタ狩り」を押していたように見えたことと、審査での妙なはしゃぎっぷりだった。例えば、惜しくも大賞を逃し特別賞を受賞した「はにメーション」(埴輪のアニメーション)の賞金を決めるとき、他の特別賞が賞金5万円に対し、
「はにメーションだから、はに、82円!」
などとボケたりしたものだから、
「女仕切るなよ」
「いじめを見て気持ちいい女は黙れ!」
「もう出てくんな消えてしまえ恥さらし」
「女まじシね。マジでシね。お願いしますシね」
と激しい攻撃にあった。
審査の方法も結果も間違っていたとは考えていない
松嶋さんはこうした一連のカキコミを見たそうだ。自身のブログにも相当数のバッシングコメントが書かれたとブログで告白。そして、07年11日27日、
「楽しくニコニコ動画を見ていた皆さん、今回は私の発言で気分を害するような事になってしまい本当に申し訳ありませんでした」
という謝罪文を掲載した。そして、「サンタ狩りを削除してほしい」という要求に対しても、「手塚眞さんに話を持ちかけてみる」と書いている。ただし、「もうメディアに出るな」「死ね」に対しては、
「死ねないです。母親に赤ちゃんだっこしてもらうまでは死ねません」
「言葉の暴力になってしまって、そうすると、『サンタ狩り』を押した私と変わらない」
と批判している。
この謝罪文を見て納得した人も多く、一転、応援するカキコミも増えてきたが、中には「謝罪文読んで、ムカつくの俺だけ?」「こいつ昔、日テレの事でブログが炎上したヤツだろ」などというカキコミもあり、簡単に火消しができない雰囲気だ。
ニワンゴの親会社ドワンゴの広報はJ-CASTニュースに対し、今回の騒動は、ユーザーの方々の「国際ニコニコ映画祭」への期待が自分達の予想以上に大きいことを示していて、「前向きに受け止めている」とコメントした。審査の方法も結果も間違っていたとは考えていないものの、
「結果的に大賞作品を特別推していたわけではない松島さんに非難が集中したことについては、大変申し訳なく思っています」
としている。そのため、松嶋さんには謝罪するとともに、継続して審査委員になってもらえるようお願いをしているのだという。「国際ニコニコ映画祭」は07年12月1日から第2回目の投稿募集を開始。
「今回の反省点をふまえて、よりユーザーのみなさんが楽しめるような国際ニコニコ映画祭になることを目指し、やり方などを改善していきたいと思っています」
といっている。