地方債を個人に買ってもらおう 財務情報ネットで積極開示する川崎市

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売れ残り、情報開示が不十分

   ただ、景気の先行きが不透明なことから資金が国債での運用に傾いているのに、ミニ地方債をはじめとする地方債はさえない。国が元利償還について財源を保障する地方債(一般地方債)は、国債と同じ「安全資産」。基本的にはシンジケート団(シ団)を組んで銀行や証券会社が発行額分を引き受けるので、地方債の多くは機関投資家が保有していて、「売れ残りはありません」(総務省地方債課)という。そもそも地方債は流通している債券が少なく、買い手が少ないので、「売れ残りがない」のは金融機関が在庫を抱え込んでいるだけのことになる。

   ところが、現実に「売れ残りはある」という。個人投資家が購入しやすいミニ地方債についても地元の銀行などが購入者を募集し売れ残った分を銀行が引き受けることになっているが、「昨秋あたりから、銀行が引き受けるケースが出始めた」(地銀関係者)というのだ。前出の川崎市も11月26日にミニ地方債「川崎市民安全安心債」の募集を開始したが、即日完売とはいかなかった。

   その背景には、地方自治体の財務情報の開示が不十分なことがある。夕張市の財政破綻などもあって、自治体財政への目が厳しくなっているのだ。また、調達した資金が地域の学校施設や公園の整備など、資金使途がはっきりしていることがミニ地方債の「売り」でもあったのに、最近はいわゆる「借換債」として募集するケースも出てきて、財政への不安が増している。

   日興アイアールによると、「全体としては発行額の大きい自治体の評価が高い傾向にあるが、上場企業と比べるとIR情報の開示についてはまだまだ」という。

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