「みのもんたの朝ズバッ!」の不二家報道問題について、TBSが「調査報告書」を発表したことをめぐり、不二家信頼回復対策会議の議長を務めていた郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授が、同社に公開質問状を提出した。TBS側が不二家との会談で発言した内容とこの「報告書」が「核心部分において重大な相反がある」というもの。郷原教授は記者会見し、不二家との会談でTBS担当プロデューサーが発言した「音声」を公開、TBSに事実確認を含めた対応を求めている。
「疑問に思いながらも、そういう指示で・・・そういう作業を」
郷原信郎教授は会見で「TBS・不二家会談」の音声を公開
郷原信郎教授は2007年11月28日に記者会見を開き、TBSの情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」の不二家報道をめぐり、同社井上弘社長宛てにに公開質問状を提出したと発表した。郷原教授は会見の中で、TBSが07年11月16日に発表した「朝ズバッ」の問題点についての「調査報告書」を取り上げ、
「(報告書は)生ぬるい検証で、報道機関として十分に事実を解明しようとしていない。3月25日に行われた不二家側とTBS側の会談と相反している」
と指摘した。
問題となっているのは、07年1月22日の同番組で、不二家が賞味期限切れのチョコレートを再使用しているという「疑惑」を不二家平塚工場の元従業員とされる人物の「証言」を交えて報じた内容。不二家が「再使用はない」と即日抗議したほか、不二家の信頼対策会議は「放送内容に捏造の疑いがある」とまで指摘していた。
「捏造」が疑われるのは信頼回復会議によれば、次の通りだ。
TBSは1月20日に、チョコレートとクッキーであるカントリーマアムについて再使用したという「証言」の事実確認を不二家広報室に行ってきている。しかし、不二家側はチョコレートの再使用を全面否定したうえ「平塚工場でカントリーマアムは製造していない」と返答しているため、その時点でTBS側はその証言が「無価値」であったことが分かったはず。にもかかわらず、カントリーマアムの証言をチョコレートの証言として「流用」し、「賞味期限切れチョコレートの再使用」のニュースとして報道した可能性が濃厚、というものだ。
一方、TBSが2007年11月16日に発表した「調査報告書」は、担当ディレクターが「カントリーマアム」はクッキーでなく「チョコレートの具体的な商品名と誤解していた」、「(証言を)意図的に取り替えたものではない」「誤解に基づき処理したもの」としている。証言者のカントリマアムについてのコメントをチョコについてのコメントに「流用」するなどの「不適切な点」については認めたが、「捏造」については一貫して否定している。
こうした経緯を踏まえたうえで、郷原教授が問題にしているのは、「(ディレクターが)チョコレートの具体的な商品名と誤解していた」という点。07年3月25日に不二家役員会議室で行われた会談の場で、TBS側がそれと異なる発言をしているというのだ。
郷原教授は会見のなかで、
「チョコレート工場なのに、『なんでクッキーが戻ってくるんだろう』ということを疑問に思いながらも、そういう指示で・・・そういう作業を行っていましたということなんですよ」
というプロデューサーの発言音声を記者に対して公開。少なくとも、プロデューサーは「カントリーマアム」がクッキーであることを認識しており、証言に疑問の余地がありながら、放送に踏み切ったということになりそうだ。