「宴席同伴疑惑」深まるナゾ ウソつきは守屋か額賀か

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   守屋武昌・前防衛次官が2007年11月28日逮捕され、「ゴルフ接待疑惑」に端を発した騒動は、政界の汚職事件に発展した。次に事件が拡大する可能性があるとして注目を浴びているのが、額賀福志郎財務相が守屋容疑者などと宴席で同席していたとされる問題だ。自民党側は宴席が行われていた時間帯に別の会合で撮影されたとさる写真を公表、「アリバイ」を主張する一方で、民主党側は「(写真は)いくらでも修正できる」と反論、「額賀財務相が宴席に出席していた」とする独自の守屋容疑者に対する聴取結果も公表し、言い分は真っ向から対決している。

人形町の三ツ星料亭で宴会

喚問の実現は流動的だ
喚問の実現は流動的だ

   東京地検特捜部は11月28日午後、守屋武昌容疑者(63)と妻の幸子容疑者(56)を収賄容疑で逮捕した。防衛商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸被告(69)=同日付で業務上横領罪などで起訴=から、防衛装備品の納入で有利な取り計らいを受ける趣旨だと知りながら、多数のゴルフ接待を受けた疑いだ。

   この事件の次の焦点になりそうなのが、財務相の「宴席同席疑惑」だ。06年12月4日夜に、東京・日本橋人形町の「濱田家」で行われたジェームス・アワー氏(元米国国防総省日本部長)を囲む宴席に、守屋容疑者、山田被告らと同席していたのではないか、という疑惑だ。

   発端は、11月15日に参院外交防衛委員会で守屋容疑者に対して行われた証人喚問だ。守屋容疑者は財務相と宴席で同席したことを初めて明らかにし、時期は「一昨年くらい」とされた。

   11月22日の参院財政金融委員会では、民主党側は攻勢を強めた。民主党の辻泰宏氏が、財務相が参加したとされる宴席は06年12月4日に開かれたと指摘。

「(参加メンバーから)どこに誰が座っていたかも聞いている」

などと主張した。財務相側は「(宮崎被告らとの宴席には)出席していないと明快に報告した」と完全否定、議論は平行線をたどっていた。

   そんな中、11月27日になって、自民党側が「反撃」に転じた。大島理森国対委員長が調査結果を公表し、「列席したことはあり得ないと判断した」と全面否定したのだ。

ドライバーが一緒に行動し、記録を付けている?

   その「物証」として、宴席が開かれたとされる06年12月4日に、財務相が18時から銀座で家族と会食した時の写真や、その後に永田町で行われた勉強会の録音テープなどが挙げられた。デジカメ写真の属性データまで公表されており、撮影されたのは、同日の19時51分であることも判明している。

   その約2時間半後には民主党側も会見を開き、山岡賢次国対委員長が反論した。自民党側が提示した写真については、

「アリバイを作ろうと思えば、今は数字はデジタルでいくらでも入りますから」

と、半ば「証拠は捏造」との見方を示す一方で、民主党側が守屋容疑者から宴席について聴取を行っていたことを明らかにした。聴取は07年11月21日から22日にかけて2度にわたって行われ、守屋容疑者は

「(財務相の宴席出席は)間違いない。ドライバーが一緒に行動し、記録を付けている」

などと話していたという。

   このように、現在まで、財務相と守屋容疑者の言い分は平行線をたどってきた。

   なお、参院財政金融委員会は同日、財務相と守屋容疑者への証人喚問を12月3日に行うことを野党だけで議決している。喚問の場で両者の「ガチンコ対決」が行われるものとみられていたが、守屋容疑者の逮捕で喚問の実現は流動的になっており、真相が明らかにならない可能性もでてきた。

   もっとも、財務相は1998年には防衛庁長官(当時)を、01年には経済財政政策担当大臣を、それぞれスキャンダルで辞任したという過去があり、今回のスキャンダルで「炎上」すれば、今度こそ命取りになる、という見方もささやかれている。

姉妹サイト