建築法改正で不況? 国交省の準備不足で混乱

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   耐震偽装問題を受けた建築基準法の厳格化に伴う混乱が景気に悪影響を及ぼしている。国土交通省がまとめた2007年7~9月の新設住宅着工戸数は前年同月比23~44%減と、6月20日の改正建築基準法の施行後3カ月連続で急減した。9月の下落幅は同44%減と過去最大で、回復のめどは立っていない。住宅会社だけでなく、資材会社にも売上減などの影響が出始め、経済成長の押し下げ要因となった。国交省は11月になって建築基準法施行規則を改正するなど混乱の収束を図るが、07年度の政府経済見通し(改定値)の実質成長率2.1%を達成できない公算が大きく、法改正をきっかけとした建築不況の恐れが出ている。

建築資材や住宅設備にも深刻な影響が及ぶ

「国交省の対応が十分だったら」との声も漏れる
「国交省の対応が十分だったら」との声も漏れる

   今回の混乱を招いた原因の大半は、国交省の準備不足にある。改正法は耐震偽装防止のため、手続きの厳格化と罰則強化を打ち出した。そこまではよかったものの、改正内容を詳述した技術指導書の発行が法施行2カ月後になり、偽装防止の切り札とした構造計算用の新ソフトがまだ完成しないなど、後手後手の対応になっている。

   加えて、厳罰化を恐れた建築士や審査機関側が必要以上に慎重な対応をとり、細かな訂正でも建築申請の再提出を求め、混乱に拍車をかけた。もともとが「おおざっぱだった」(都内の建築士)という業界の体質は否めないにせよ、この点についても、過剰な対応を把握しながら、「時間が経てば慣れる」とばかりに甘く見て、具体策が遅れた国交省の責任は大きい。

   着工の停滞が建築業界だけでなく、建築資材や住宅設備にも及んでいるのは深刻だ。中間決算で下期の業績見通しを下方修正する上場企業が相次ぐなど、実体経済に影響が広がっている。関連して設備投資も大きく減っており、果ては住宅新築に伴う家電製品や新車購入への影響も懸念されるなど、米国のサブプライム・ローン問題と並んで、日本の景気の大きな障害となり始めている。

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