米国消費の低迷 絶好調海運業にも暗雲

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   米国の株式市場やドル為替レートの下落傾向が続いている。引き金になっているのは低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題だが、この住宅バブルが弾けて、消費が後退。米国景気の先行きが不透明になった。米国消費の冷え込みが懸念されるなかで、回りめぐって海運業に暗雲が立ち込めはじめた。好調だった海運業を支えてきた「アジア→北米」航路の荷動きに変化が出てきた。

荷動きをみると、米国経済はすでに後退

米国消費の冷え込みの余波が広がっている(写真はイメージ)
米国消費の冷え込みの余波が広がっている(写真はイメージ)

   サブプライム問題で株式市場が揺れるなか、海運業は好調だった。海運大手の商船三井の07年度上期は売上高で前年同期比23.8%増の9403億円。当期純利益は同81.6% 増の867億円の最高値を達成した。米国で景気減速の兆候がみられたものの、BRICsに代表される新興国の高成長を背景に海上の荷動きが活況を呈し、運賃市況も大幅上昇したのが追い風になった。
   海運業の国際的な平均運賃を指数化したバルチック海運指数(BDI=1985年平均を1,000とする)も、2007年4月に7,000台に突入。9月には9,000を超えて、11月19日には10,780だった。

   ところが、米国消費の冷え込みが海運業にも影響を及ぼし始めた。いま、世界のモノの流れは「世界の工場・中国」から欧米へと向けられていて、海運も「アジア→北米」航路は好調だった。その航路に陰りが出てきた。ある海運ウオッチャーは、「近年2ケタ成長を続けてきたアジア発北米航路の荷動きは、家具や家電、雑貨など住宅着工の落ち込みの影響から今後伸びが鈍化してくる」と警告。たしかに、「アジア→北米」航路の07年1月~9月の荷動きは8%増と、2ケタに届かなかった。

   気になる米国の住宅着工は、9月は年率換算で119万戸と06年の181万戸から34%落ち込んだ。家具や家電、雑貨などはコンテナで運ぶため、米国の景気後退の影響はまずコンテナ船事業から現れるという。

「荷動きからは、すでに米国経済ははっきりとした後退傾向にある」(ウオッチャー氏)

バルチック海運指数も頭打ち

   もちろん、中国向け需要が旺盛なバラ積み船(原材料の運搬船)はいまだそんな陰りをみせていないから、「海運業者の極端な業績悪化は考えづらい」(証券関係者)との見方もある。

   しかし、10,000を簡単に超えたBDIも上昇気配に一服感がみられる。どうやら頭打ちになってきたようだ。まだまだ高値圏ではあるが、11月19日のBDIは前日比90マイナスの10,780だった。海運株の伸びは、BDIの伸びに支えられてきたこともあって、BDIの伸びが止まってくれば株価は支えを失うことにもなる。加えて、あとに控えているのが円高と燃料費上昇の減益要因となれば、売り圧力が高まってきても仕方がない。

   こうしたマイナス要因に加えて、「アジア→北米」航路の陰りを中国がどこまでカバーし、支えていけるのかがカギになりそうだ。

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