「超音波で蚊を寄せ付けない」とうたった携帯「蚊よけ器」が、実際には全く効果がなく景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、公正取引委員会がこの「蚊よけ器」を販売したメーカーに対して排除命令を出した。過去には「電磁波と超音波」による効能をうたったゴキブリ・ネズミを撃退する装置を販売したメーカーが、同様に効果がないとして排除命令を受けている。これらに限らず、「超音波」をうたった虫や動物を撃退する装置については、専門家からも「信用できない」と疑問の声が上がる。
「蚊よけ器」超音波自体出ていなかった!
問題となった「超音波蚊よけ器」
公正取引委員会は2007年11月20日、オーム電機(東京都豊島区)が販売した「蚊よけ器」に、表示しているような効果がなく、景品表示法に違反するとして排除命令を出した。
問題となったのは、「超音波蚊よけ器」と「ミニライト付き蚊よけ器」の2商品。商品の包装紙には「超音波で蚊をシャットアウト」「蚊が逃げる!」「血を吸うメスの蚊がきらう周波数の音波を発生し、寄せ付けません」と表記されていた。公取委によると、同社は98年3月頃からおよそ124万個を全国のホームセンターなどで販売。公取委が調査を開始した07年10月頃に、同社は2商品の販売を中止した。
公取委は、この商品を入れたケージに蚊と検体として鳥を入れ、比較実験を行ったが「効果がない」と判断。また、オーム電機でこうした実証実験をしたといったことも認められなかったという。公取委景品表示監視室はJ-CASTニュースに対し、「超音波自体なかった。普通のピーっていう音だった」と語る。
実は、過去にも類似する事例があった。公正取引委員会は02月7月、電磁波と超音波でゴキブリやネズミを撃退する性能・効果をうたった「ペストX」という商品の表示について調査したところ、「効果がない」として販売や輸入代理店などの事業者3社に対して排除命令を行っている。
人間が聞こえるのは20~2万ヘルツの音波とされており、「超音波」は、20Kヘルツ以上の波動(音波の一種)で、人間には聞こえない。これまで「効果がない」と認定された「超音波商品」は、「聞こえない」ことをいいことに「効能」をうたっていた、ということになる。