グリーンピースとの戦いも激化
反捕鯨の動きは、環境保護団体でも盛り上がっている。水産庁遠洋課によると、07年冬は、グリーンピース(本部・オランダ)より過激とされる米国の環境保護団体の船による体当たり攻撃があった。「以前は接触する程度でしたが、ここ数年、過激化しています」と同課の担当者は言う。
この環境保護団体の2船は07年2月9日、調査母船「日新丸」へ酪酸とみられる薬品を投げ込み、乗組員2人が目や顔に軽いやけどを負った。スクリューを狙ってロープや漁網を投下したりもしたという。同12日には、別の船に激しく体当たりして船体の一部を損傷させた。「南極はとても厳しい環境で、東京湾とはわけが違う。当たり所が悪ければ、大きな事件になっていた」と同課の担当者は話す。
06年1月は、グリーンピースの船も体当たりしてきたという。同課では、米国の環境保護団体は、グリーンピースの創始者が始めた団体で、互いに連携して調査を妨害しているとしている。
これに対し、グリーンピース・ジャパンの広報担当者は、「米国の環境保護団体は船をぶつけていたが、こちらは実力行使をしたことはなく、平和的な手段で訴えています。06年のケースは、日新丸の方からぶつけてきたんです」と反論する。双方の目的を巡っても、「グリーンピースは、妨害というよりパフォーマンス。ビデオ、写真で金を稼いでいる」(水産庁)、「日新丸は、調査捕鯨というより商業捕鯨。採ったら箱詰めにして、日本で販売している」(グリーンピース)と、批判合戦をしている。
日本の調査捕鯨船団は11月18日に山口・下関を出港したが、グリーンピースのエスペランサ号は宮崎沖で待機して、同日から日新丸などを追跡している。さて、もし豪州で労働党政権ができれば、どうなるのか。
「私たちは、政党や企業とは独立したスタンス。オーストラリア政府と協力することはありません」とグリーンピース・ジャパン。とすると、今後、豪州政府が軍隊を出動させることがあれば、日本の調査捕鯨関係者にとっては悩ましい三つ巴の戦いになりそうだ。