ネット銀もお金持ち相手でなければ、もうからない?
ソニー銀行が好調な背景には、住宅ローンやカードローンの残高が伸びていることもある。9月中間期は住宅ローン残高が3114億円、カードローンや目的別ローンの残高が76億円となり、貸出残高全体ではこの3月期に比べ12%増えた。貸出利息による収入も07年9月期と比べて約10億円増加し、31億8400万円となった。
ソニー銀行は好調の要因を、「資金運用収支の伸びにある」と説明する。
中間決算で赤字となったイーバンク銀行は、「サブプライムローンに絡む有価証券の評価損が赤字を拡大した」としているが、簡単に言えば資金運用の失敗だ。銀行の、オーソドックスなビジネスモデルは預金を貸し出しにまわして、残りは「余資運用」といって、株式や債券に投資する。貸し出しに回す分が少ないと、マーケットでの運用資金が増える。つまりネット銀行の場合、余資金運用のウエートが高く、そこで収益を上げようとするから、多少リスクのある金融商品にも手を出さざるを得なくなるというわけだ。
開業当初、「決済重視」を謳っていたジャパンネット銀行やイーバンク銀行は、その後もオンラインショッピングとの提携に力をいれて決済機会を増やしてきた。最近は個人ローンの取り扱いや外国為替証拠金取引(FX)や投資信託の販売などにも積極的で、あらゆる場面で収益機会を増やそうとしているが、結局ネット銀行も資産づくりに興味のある、「お金持ち」相手でなければ、もうからないことが証明された形だ。