原油高による燃料費の値上がりが懸念されるなか、「牛ふんを燃料にしたらどうか」と思いついた会社があった。木くずと混ぜてペレット(固形燃料)にし、08年度には実用化を目指したい考えだ。
北海道や東北等の寒冷地の自治体では、木くずを圧縮成型した「ペレット」を燃料にした「ペレットストーブ」の普及を推進しているが、このペレットを牛ふんで作ろう、というのだ。
この試みを進めているのは、家畜の輸入精液の販売をしている「日本家畜貿易」(北海道帯広市)。同社が、牛ふんを原料にした肥料(たい肥)を作るのに必要な「たい肥かくはん機」の取り扱いを始めたことから、研究が始まったという。
08年には実用化に踏み切りたい考え
牛ふんが燃料として期待されている(写真はイメージ)
具体的には、牛ふんの雑菌を死滅させるため、木くずを混ぜた上で約1ヶ月半、「かくはん機」でかき混ぜて発酵させる。水分が20%になるまで乾燥させた後、長さ約1.5センチ、直径7ミリに整形する。臭いはほとんどないという。同社では、08年には実用化に踏み切りたい考えで、
「酪農が盛んな土地なので、原料も豊富。原油高の影響を受けませんし、環境にもやさしいです」
と意気込む。課題は、「木質ペレットに比べて密度が高いので、燃焼時間は長いが火力が弱い」ことだそうだ。今後は原料の比率などを調整しながら改善をはかり、普及を進めたい考えだ。
価格は1キロあたり30円を想定しており、木質ペレットの約半額。灯油と比較しても、約3分の2で済むという。もっとも、この「安さの秘密」は、「企業秘密」なのだそうだ。