ダブル合格者だけでは判断できない
そこで、早大にこの人気をどう思うか聞いてみた。広報課の担当者は、「ライバルとして協力・切磋琢磨はありますが、早慶どっちがどうだとは意識していません」と述べたうえで、大学の取り組みを挙げた。それによると、2007年の大学創立125周年に向けて、3年前に国際教養学部を新設。07年には、理工学部を先進理工学部など3学部に、第1、2文学部を文学部、文化構想学部に再編した。さらに、新聞の一面などで、世界に期待される大学を目指すといった広告を積極的に打った。「広告の額は公表できませんが、これまでの2、3倍などという話ではない」と担当者は明かす。
早稲田の志願者を見ると、2005年度入試では10万人台まで落ち込んだが、その後増加に転じ、07年度は12万人台まで回復している。確かに、取り組みの成果は出ているようだ。
一方の慶大はどうか。広報室の担当者によると、学部の改編はここ数年なく、今後もまだ予定されていないという。早稲田の進学人気については、「予備校でやっている調査ですので、私どもの方からどうこう言う立場ではありません」と話すのみだった。
ただ、慶応の志願者数をみると、2004年度入試で4万2000人台だったものの、07年度では4万7000人台まで伸ばしている。さらに、創立150周年を迎える2008年に向け、システムデザイン・マネジメント研究科など4大学院を08~09年度に開設するなど新しい教育への取り組みもしている。
もっとも、ダブル合格者の動向だけで単純に進学人気が分からない面もある。慶応の入学者が多かったことについて、代ゼミでは、「慶応の文系には、数学や小論文があるので、もともと行きたい人が慶応を受ける傾向があります。だから、ダブル合格者で慶応入学者が多いのは当然といえば当然」とみる。
また、駿台の調査で早稲田を選んだ人が多かったことについて、広報担当者は、「アンケート回答者には、科目が合わないので慶応を受験しない人も多い。それで、早稲田希望者が多く出たという面はある」と話す。
「受験早慶戦」は、福田vs小沢の「政界早慶戦」のように、どっちが勝ったか分かりにくいもののようだ。