ダブル合格者の選択結果で慶応の後塵を拝していた、私学の雄「ワセダ」。それが、大手予備校のアンケート調査によると、ダブル合格の場合、「早大に進学する」とする受験生が慶応の倍の6割を占めたというのだ。「慶応から早稲田へ」の流れは、一国の首相ばかりではなかったのか。
6割が早稲田、3割が慶応を希望
大手予備校の調査では進学人気で慶応を逆転した早稲田大学
注目の調査結果は、駿台予備学校が2007年11月12日に発表した。それによると、早稲田、慶応の両大学を志望する現役、浪人の計623人のうち、ダブル合格で「早大に進学する」と答えた人は、58.3%。対して、「慶大に進学する」と答えた人は、30.7%だった。約2倍が早稲田を選んだことになる。
「早稲田に近いお茶の水校中心の調査なので、割り引かなければならない部分はあります。ですが、確かに、早稲田の方に勢いがある感じですね」
駿台教務本部の広報担当者は、このように話した。
かつては、ダブル合格した場合、慶応に流れる受験生が多かった。代々木ゼミナール入試情報センターによると、1990年代中ごろからそのような傾向が見られた。同センターでは、慶応人気が高まった理由として、斬新な教育内容のSFC(湘南藤沢キャンパス)を開設するなど大学改革が評価されたことを挙げる。一方、早稲田は、何十年も同じノートを使う教授のうわさが出回るなどして、守旧派とみなされたという。
同センターによると、2007年度入試も、ダブル合格者のうち7対3の割合で慶応を選ぶ受験生が多かった。河合塾の調査でも、早稲田と慶応の法学部合格者90人のうち、入学したのは早稲田が6人なのに対し、慶応はなんと44人を占めた。残りは国公立大学などに進んだとみられる。また、理工学部では、早稲田・先進理工、慶応・理工のダブル合格者265人を見ると、早稲田入学が19人、慶応入学が39人だった。調べた全9ケースで、同様な傾向が見られた。
直近の結果を見ると、まだ慶応を選ぶ受験生が多いことが分かる。
そんな中で、2008年度入試で、早稲田に軍配が上がりそうだというのはなぜか。駿台に聞いてみると、広報担当者は、
「一つは、文学部や理工学部で学部の改編が進み、受験生が将来性や選択できる学部の多さを考えて早稲田に志望を切り替えたことがあると思います。さらに、ハンカチ王子や愛ちゃん人気でイメージアップしたこともあるかもしれません」
と分析した。確かに、アンケート結果をみても、「(慶応より)教育内容に惹かれるから」「入りたい学部があるから」で早稲田を選んだ人の割合が多い。