在京民放キー5局の2007年9月中間決算が出揃い、そろって営業減益だった。CM収入の減少が響いたものだ。ただ、CMの本数自体は増加しているのだという。なぜだろう。
「買い叩いた」分をインターネット広告に回す
TBSは決算の下方修正をした
各局の07年9月中間決算のCM収入は、テレビ朝日が前年同期比で、「番組中に流れるCM」のタイム収入が2.2%減。「番組と番組の間に流れる」スポットCMが0.3%増。テレビ東京のタイム収入は9.6%減。スポットCMが1.6%増。フジテレビのネットタイム収入は0.3%減。ローカルタイム収入は6.1%減。スポットタイム収入は1.4%減。日本テレビはタイム収入、スポット収入ともに2.6%減。TBSはタイム収入が4.2%増。スポット収入は1.9%減だった。
「CM総合研究所」を運営する東京企画の関根建男社長はJ-CASTニュースの取材に対し、
「CMの本数は増えているんです」
と明かす。「CM総合研究所」の調査によれば、在京キー5局が関東1都6県で流したCMの本数は05年11月~06年10月が147万回。06年11月~07年10月が149万回だったという。
「一本あたりのCM料が下がっている、ということなんです。そして『買い叩いた』分をインターネット広告に回しています」
と説明した。
関根社長によると、企業側はインターネット広告の効果についてまだ模索している段階だが、乗り遅れないためにインターネット広告を増やしている。そしてテレビ局側とのCM料金の値引き交渉で、インターネット広告を引き合いに出すのだという。
テレビ広告市場は今後も引き続き厳しい
「テレビ以外にインターネットという選択肢がある、と、テレビ局側と料金交渉しているわけです。そうなると、テレビ局は渋々値下げを了承してしまう、という状況です」
つまり現状は、テレビCMがインターネット広告に食われている、という形だが、先行きの見通しも明るくない。
TBSは07年11月14日に08年3月期の業績予想の下方修正を発表した。それによると、07年度下期の広告収入は、タイム収入が4.2%減、スポット収入が4.0%減の見通しなのだという。TBS広報IRセンターはJ-CASTニュースの取材に対し、この下方修正は、
「テレビ広告市場において引き続き厳しい状況が見込まれるため」
と説明した。
関根社長はTBSについて、
「亀田騒動にしてもそうですが、視聴者からのすごいバッシングがありましたよね。あれを見て企業側がTBSではないテレビ局にスポットCMを移しているんです。亀田選手を応援して視聴率を稼ごうという営業方針が、大裏目に出てしまった、ということでしょう」
TBSの場合、いくらか特殊要因があるようだが、ほかのテレビ局も五十歩百歩らしい。