定年後の生活に備えるための「ターゲットイヤーファンド」の人気がじわりと広がっている。年金の不安が募るなかで、「いまからコツコツ備える」投資信託だ。野村アセットマネジメントや三菱UFJ投信が販売。住信アセットマネジメントなども2007年9月から取り扱いを開始していて、確定拠出型年金(401K)用の受け皿商品としても推進している。「定年投信」といわれるターゲットイヤーファンドだが、使い道もいろいろとありそうだ。
年齢に応じて積極運用から安定運用に移行する
「将来、年金がもらえない」と感じている若者は少なくない。いま、40歳代でも「もらえないかも」と不安に思っている。人気が広がりつつあるターゲットイヤーファンドはそんな用心のための投資信託だ。
自分が定年を迎える年にターゲットを設定し、「最初、ある程度の金額を投資していただいて、あとは毎月コツコツと積み立てていく人が多いです」(野村アセットメネジメント)という。これまでも積み立て型の投資信託はあったが、それとの違いは定年の年齢(ターゲットイヤー)が近づくにつれて、株式と債券の運用比率を自動的に変えながら、積極運用から安定運用に移行する投信だ。
野村アセットマネジメントは2007年6月11日から「未来時計」のネーミングで、郵便局で販売。10月からは、企業の401Kの対象商品としても売り出している。また、住友信託銀行も9月から「すみしんDCターゲットイヤーファンド」(運用会社は住信アセットマネジメント)を販売。こちらも「DC」とあるように、企業の401K向けの専用商品だ。外資系のJPモルガン・アセット・マネジメントも9月から「JPMターゲットイヤーファンズ」を取り扱っていて、東京スター銀行で販売している。
野村アセットの「未来時計」は、2015年~2040年まで5年刻みで6本を設定。純資産総額は107億1200万円(11月13日現在)に達する。基準価格は、「2015」の9406円(前日比46円減)から「2040」の8919円(同71円減)まで。基準価格を割れているが、運用期間が長くなるほど株式投資の割合が高まるので、株価変動の影響を受けやすい。
ちなみに、購入の多い年は2015年(純資産残高で42億5400万円)と2040年(24億6500万円)と、両極端。「理由はよくわかりませんが、将来に対する漠然とした不安があることは確かなようです」と話している。