携帯電話の使い込みを巡り、埼玉県深谷市で母親(36)が中学3年生の長女(15)を殴って逮捕される事件があった。長女が使い込んだ携帯の使用料は、なんと月額12万円。平均的な家計なら、1か月の生活費の大半が吹っ飛ぶような高額の請求だ。子どもがそんなに携帯を使い込むことができるのか。
通話やメールだけでは高額にならない
携帯電話を巡る母娘のトラブルは、2007年11月13日深夜に起きた。埼玉県警寄居署の調べによると、母親は、長女が携帯電話を使い過ぎて10月分の使用料が12万円を超えたため、携帯を長女から取り上げた。その後、長女の弟に使わせていたが、長女が勝手に携帯を持ち出して隠れて使った。そして、それを見つけた母親が腹を立て、長女の髪をつかんで床に叩きつけたり顔を殴ったりしたという。
長女はそれから近くの駐在所に助けを求め、寄居署が14日、長女に暴行を加えて顔に2週間の打撲傷を負わせた傷害の疑いで母親を逮捕した。調べに対し、この母親は「言うことを聞かないのでやった」と供述しているという。
母親は夫(47)と子ども6人の8人暮らしといい、月12万円の出費はかなりの負担になったようだ。寄居署は15日、J-CASTニュースの取材に対し、「まだ本格的に調べに入っていないので、長女が携帯で12万円も何をしていたのかなど詳細は分からない」と答えた。
そこで、子どもが12万円も使うことがあるのかどうか、携帯各社に聞いてみた。
NTTドコモの広報部担当者は、「ふつうに使っているだけでは、そんな額にはならないはず。それは、法人契約した会社の社員1人が使う額でも同じ」と首をひねる。通話料金は、国内なら距離には関係がないため、相当な長時間の計算になるという。また、メールは、テキストなら、1万円になるにも相当数の送受信が必要としている。auブランドのKDDIも、同様の意見だ。
ゲームや動画など頻繁利用の可能性
それでは、どうしたら12万円もの使用料になるのか。
NTTドコモでは、毎日のように、iモードのゲームなどをダウンロードしたり、ミクシィなどに書き込みを続けたりするなどの可能性を挙げる。音楽や写真、動画など容量の大きなファイルの場合、ダウンロードやメールを繰り返せば使用料がかさむという。KDDIも、動画など情報量の多いリッチコンテンツを多用したり、着うたフルなど大容量のデータファイルをダウンロードしたりすると、使用料が高くなるとしている。
とはいえ、携帯各社とも、使用料が膨らむのに歯止めをかけるサービスを提供している。その一つが、メールやインターネットといったパケット通信の定額制だ。ドコモ、KDDIは、月4000円余の定額を設定し、使い放題にしている。また、使用料そのものにも上限を設けて、メールで知らせたり、自動的に停止したりするサービスも普及させている。ドコモ、KDDIとも、一部を除き上限の最高額を1万5000円前後に設定している。10万円を超える使用料というのは、想定外なのだ。
中学3年生の長女の例は特殊だが、子どもの携帯使い込み問題はネットでも度々取り上げられている。gooのQ&Aコニュニティサイト「教えて!」では、ある親から「子どもの携帯代」という質問が寄せられていた。
「高校2年の娘の携帯代が、今月24,000円になりました。(中略)文句を言うと、『みんな親にもっと出してもらっているよ!なんでうちは7,000円なのよ!』とくってかかってきます。それで質問ですが、高校生の子どもに出してあげる携帯代の相場はそのくらいなのでしょうか」
これに対して、「良回答」とされたのは次の2つだった。
「確かに、クラスには携帯代が月5万で、親に出して貰っている子もいました。因みに、超の付くお金持ちです。他の子は、5000円位から自腹が多かったですね」
「普通は、最大でも親は1万円程度しか出さないものと思っています」
まとめると、高校生でも、せいぜい1万円が相場らしい。
ちなみに、ドコモ、KDDIとも、大人も含めて全利用者の使用料平均は6500円前後になっている。
さて、あなたのお宅では、子どもの携帯代はいくらが相場ですか?