「患者置き去り」の深刻背景 医療費不払い、退院拒否に暴言

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未収金が増え、病院によっては経営に影響

   この置き去り問題は、話をまとめると、退院拒否や入院費未納、暴言などのトラブルに困った病院職員らがなんとか自宅に帰そうとして失敗。苦肉の策として、救急車を使って他の病院に移ってもらおうとしたらしい。

   全国の病院では最近、暴言など患者のモラル低下のほか、治療費の不払いが問題になっている。特に、未収金の問題は、病院を悩ませているようだ。不払い分を回収できなければ病院が負担することになるだけに、日本医療法人協会などからなる四病院団体協議会が06年12月、保険者である自治体などの肩代わり請求を求めて集団訴訟を起こす動きを見せたほどだ。協議会関係者は、「推計では、ここ3年間で未収金が増える傾向になっています。病院によっては経営に影響が出るほど、かなり深刻と言えます。なんとか対策を考えなければ」と話す。

   厚生労働省でも07年6月、こうした動きを受けて、未収金問題に関する検討会をスタートさせ、対策を練り始めている。

   豊川総合病院でも、未収金の問題はやはり深刻なのか。総務課の鈴木次長は、患者男性のケースについて、「(前妻との)交渉が甘かった」と反省したうえで、「一般的な話ですが、医療保険の個人負担分が増えたこともあって、未払いのケースが出ているようです。未集金に悩んでいるのはうちだけではありません」と明かした。

   ただ、患者男性を置き去りにしたことに対しては、鈴木次長は、「起こしてはならないことで、お詫びしたい。前の奥さんと自宅で十分に話し合いをして、理解されるようにもっと努力すべきだった」と話している。堺市保健所でも10月末、医療法に定められた職員の監督を怠ったとして、文書で病院を行政指導している。

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