自ら墓参りし、役になり切った「凄味」
人気の理由は、ビジュアル面ばかりでなく、何を考えているか分からないGacktさんのミステリアスな役柄作りにもあるようだ。
謙信役のGacktさんを特集した読売新聞の10月3日付夕刊記事で、Gacktさんは、毎朝3時間ぐらい筋トレをして約10キロ増量したとしたうえで、次のような一風変わった私生活を明かした。
「僕にとってはコシヒカリの古々米を炊いて1日置いて、その冷やご飯に酸っぱいキムチを載せて海苔(のり)を巻いたのが一番ぜいたくな食べ物。(中略)だけど、一番大好きな米を、もう8年間食べていないし、今は1日1食」
こうした私生活は、メディアで何度も取り上げられ、ミステリアスな印象を増幅している。Gacktさん自身もそんな演出に気を配っているようで、自ら1540年7月4日生まれと称している。計算すれば、なんと467歳だ。読売の記事で、Gacktさんは独特の恋愛感をこう語る。
「僕は生まれてくる時代を間違えてしまったサムライみたいなものだから。『女は男の三歩後ろを歩くものだ』って言うと怒る女性がいるけど、これは『僕が前を歩いて君を守る』っていう男の決意、生き方なんだよ」
同じサムライのせいか、Gacktさんの謙信への入れ込みはすごい。歴史書を耽読するばかりか、自ら墓参りしたり、謙信のイラストを書いたりしている。その入れ込みが、役になり切ったGacktさんの凄みになっているようだ。
「『神の化身だ』と言う謙信が、兜も着けずに鉄砲の弾を浴びながら小田原城まで歩いていくシーンがあるんです。それをGacktさんがやるとマッチするし、不思議と許せてしまうんです」(NHKの広報担当者)
Gacktさんは、読売の記事で、女性への欲をすべて断ち切るなどした謙信のストイックな生き方を自らになぞらえて、こう言い切る。
「それを人は狂気って呼ぶんじゃないかな」