中国政府系ファンド「日本への投資も検討」
政府系ファンドは、日本にとっても存在は大きくなっている。4月にはシンガポール政府投資公社GICリアルエステートが、福岡ソフトバンクホークスの本拠地ヤフードームなどを取得。カジュアル衣料品「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは今夏、UAEの政府系投資ファンド、イスティスマルと米高級衣料専門店バーニーズ・ニューヨークの買収で争奪戦を展開、イスティスマルに破れた。
9月には中国政府系ファンド「中国投資有限責任公司」が発足し、「日本への投資も検討されるだろう」(市場関係者)との観測は強い。実際には、日本ではまだ米国のような目立った動きは生じていないが、政府系ファンドは大企業をたやすく買収して技術流出などを招き、安全保障上の問題に発展する恐れもある。「自動車のような基幹産業はいざとなれば国が守るだろうが、それ以外の企業はどうすればいいのか」(食品メーカー)と、企業の間にはじわじわと不安が広がっている。