53年ぶりにプロ野球日本一に輝いた中日ドラゴンズだが、優勝を決めた試合での"あの継投"が物議を呼んでいる。スポーツライターの玉木正之氏は中日新聞へのコメント掲載を急きょ断ると宣言。楽天イーグルス野村克也監督もテレビ番組で「監督が10人いたら10人とも替えない」とまで述べている。日本一になればそれでいいという考え方もできようが、「これが野球か!?」という批判は止まりそうもないのだ・・・
ナゴヤドームで2007年11月1日に行われたプロ野球の日本シリーズ第5戦、中日が1対0で日本ハムを下し、通算4勝1敗で53年ぶり二度目の日本一に輝いた。しかし、この試合の9回、驚くべき光景が待っていた。中日は先発の山井大介が8回までノーヒットの快投を見せていたが、9回にはクローザー岩瀬仁紀を投入。球史に残る日本シリーズの「完全試合」が消滅した瞬間だった。
「10人の監督がいても10人とも替えない」
玉木氏は「スポーツに対する冒涜」とまで「オレ流」采配を批判していた
その夜のワイドショーでは優勝を祝福するムードはあるのだが、9回の投手交代に疑問を投げかけるコメントが相次いだ。
テレビ朝日系「報道ステーション」では、野村克也・楽天監督がインタビューに答え、「自分なら替えない」と述べている。
「完全試合できてるピッチャーを9回(笑)んー、ピッチャー替えるっていうのは落合監督だけでしょう」「10人の監督がいて、10人とも替えないでしょう。その辺が落合(博満)監督らしいといえばそれまでなんでしょうけど」
日本テレビ系「ニュースZERO」に出演した星野仙一日本代表監督も、
「落合監督はピッチャーの経験ないからあういう行動に出たのか、1点差だったから岩瀬に任せると決めておったのか、どちらにしても勇気がいる」
と述べた上で、自分が監督だったら「(山井に)投げさせていた」と漏らしている。
スポーツライターの玉木正之氏は中日の優勝を受けてホームページを更新。「アッタマに来た。これが野球か!?野球の醍醐味はどこへ消えた!?ナンデ完全試合の山井を変えるねん」と落合監督を激しく批判。交代劇を「スポーツに対する冒涜」とまで指摘し、
「午前中に中日新聞に優勝予定稿のコメントを電話で送っていたが急遽電話して削除してもらう。100年に1度あるかないかの凄い興奮の瞬間よりも53年ぶりの優勝を確実にしたかったというならナント小心な夢のない野球か!本当に気分が悪い」
と綴っている。
ネット上でも賛否両論で盛り上がりを見せた。巨大掲示板「2ちゃんねる」では、11月2日午後の時点で15本以上のスレッドが立てられ、"あの継投"をめぐって激しい議論が交わされている。それは、次のような具合だ。
「中日ファンから野球を愛する中日ファンが去り、中日だけが勝てばなんでもいいというようなファンが残った」
「選手はロマンで野球やっちゃいないんだよ」
「代えないことの方が簡単なのに代えた落合の真意を読み取るべき」