ソニー売上、利益とも過去最高 「完全復活」なのか?

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   ソニーの業績が大幅悪化した2003年の「ソニー・ショック」から4年。そのソニーが2007年9月中間連結決算では売上高、当期利益とも中間期として過去最高を更新し、復調を印象付けた。ただ、主力のテレビやゲーム機に課題を抱えており、ソニーは「事業の選択と集中」を急いで、「完全復活」を目指す考えだ。

   ソニーの07年9月中間決算は、売上高が前年同期比12.8%増の4兆595億円、当期利益312%増の1401億円。本業のもうけを示す営業利益は前年同期の約30倍の1897億円にも達した。

「事業の選択と集中」に取り組む

有機ELで「技術のソニー」をアピールしたい考えだ
有機ELで「技術のソニー」をアピールしたい考えだ

   けん引役はデジタルカメラ「サイバーショット」やパソコン「バイオ」。中核と位置付けるエレクトロニクス部門が好調だった。ソニーは08年3月期決算で売上高に対する営業利益の比率を5%に引き上げる目標(07年9月中間決算は4.7%)を掲げ、「V字回復」を狙っている。ソニー幹部は「目標達成が見えてきた」と自信を示す。

   ただ、先行きには不安も残している。薄型液晶テレビ「ブラビア」は、売り上げは伸びているが、激しい競争に伴う販売価格の下落が響き、テレビ事業は赤字が続いた。

   また、ゲーム機事業も赤字が1,259億円と前年同期の倍近くに膨らんだ。家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の販売低迷が続いているためだ。ソニーは業績回復の軌道を確実なものとするため、出遅れも指摘された「事業の選択と集中」に取り組んでいる。

   10月11日には、銀行や生命保険を展開する金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングスを上場し、約3,000億円の資金を調達した。金融事業はソニー創業者の故・盛田昭夫氏の念願だったが、ソニー本体との事業との相乗効果は薄いと指摘されていた。

   さらに、長崎県諫早市などにある高性能半導体の生産設備は来年3月をめどに東芝に売却することを決定した。高性能半導体は「PS3」に搭載されているが、ゲーム事業の不振で、半導体製造に振り向けた巨額投資の回収が進んでいなかった。

有機ELに重点的に投資する

   半導体生産設備の売却額は1,000億円強とされ、金融子会社の上場と合わせた調達資金は4,000億円を超す。ソニーは巨額資金を成長戦略の中心に据えるエレクトロニクス部門につぎ込む構えだ。

   重点的な投資対象となるのは、究極の薄型テレビと言われる「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)」。ソニーは12月、厚さわずか3ミリの有機EL(11型)を発売する。「『技術のソニー』が健在であることを証明」(中鉢良治社長)し、各社がしのぎを削る薄型化競争で主導権を握ろうとしている。

   PS3も値下げで巻き返しを図り、ゲーム機事業は09年3月期決算での黒字化を目指す。ソニーの「完全復活」は、テレビとゲーム機のばん回にかかっている。

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