盗撮に「迷惑防止条例」は適用されず
久保田アナによれば、盗撮行為自体が法律で裁かれると思っていたが、今回の「盗撮事件」では、犯人は「建造物侵入」の罪状で立件された。通常、盗撮行為については「迷惑防止条例」が適用される。しかし、盗撮が行われたのがTBSの会社内で、会社が許可した人間による犯行のため「公共の場」とはいいづらく、「迷惑防止条例」では立件されなかったというのである。
「それでも、会社とは不特定多数の人が出入りする場所で、いちいちその人の性癖まで会社がチェックするなんて到底無理なわけで、今回のようなケースを会社の管理不行届きといえるでしょうか。(中略)『駅や電車』と『会社』という場所の違いで、同じ行為の罪の重さが変わっていいのでしょうか。どうやら法律は遅れているようです」
久保田アナは、このように「盗撮行為」自体が罰せられないことに相当な憤りを覚えているようで、トイレに掛けて「法整備をすすめるためにも、私は声を大にしていいます。『盗撮は犯罪で、断じて水には流せません』」と述べている。
こうした久保田アナが述べる「法律の不備」はもっともな意見のようだ。盗撮問題に取り組んでいる平松総合調査事務所の平松直哉さんもJ-CASTニュースに対し、同様の問題を指摘している。
「盗撮を取り締まるのは、軽犯罪法で『ひそかにのぞき見た』と定められているものと各都道府県の迷惑防止条例だけで、どれも現在の状況に対応している法律ではない。今回の盗撮事件は、建造物侵入の罪状の方が罪状を取りやすく罪が重いと判断して(警察側が)適用したのでしょう。ただ、盗撮行為に対する罰則という点で、現状の規制では対応できていないと思います」
刑法では、建造物侵入罪は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が課される重い罪。しかし、盗撮の被害者にとってみれば「盗撮行為」自体が罰せられないのもおかしな話といえばおかしな話だ。