REITの合併は株価の低いもの同士でしかない?
ところで、J-REITは一般的にPBR(株価純資産倍率=株価÷1株あたりの純資産額)が1より低いと「買い」といわれる。東証に上場する42銘柄をみると、FCレジデンシャルのPBRは0.967、エルシーピー(LPC)は、0.872、プロスペクト・レジデンシャル(PRI)が0.722、東京グローストリートが1になっている。
理論上は、こうした投資法人は「買い」だから、プロスペクト・アセット・マネジメントが「買い」に走ってもおかしくはない。しかし買いが進めば、導管性要件からはずれてコストアップとなり分配金が減るので、投資家にとってメリットはない。
REITアナリストの山崎成人氏は、「そもそもREITの合併は、基本的には株価の低いREITの救済でしかありません。株価の高いREITの、株価の低いREITへの関心も低くなっていますし、株価の高いREITが株価の低いREITを合併しようとすれば、株価の高いREITの投資家が利益を損なうと大反対します」と説明する。つまり、REITの合併は株価の低い銘柄同士でしか起こらず、いわば「生き残り策」という面が強い。
山崎氏によると、REITの株価は2年ほど前から二極化傾向にあるという。サブプライム問題の影響で、それがより鮮明になってきたといえるが、「銘柄淘汰の一環と考える必要があるし、その意味ではREIT市場の評価が正常に動いているといえる」(山崎氏)という。
山崎氏は「日本のREITの仕組みでは、資産運用会社の合併になります。それらは金融庁の認可業者でもあり、現状では無理ではないでしょうか」と話している。