「摩擦」の防波堤失い、影響が及んでくる
ただ、米国でトヨタが快走しているのは、ガソリン高を背景に燃費効率の高いトヨタ車が消費者から評価されているためだ。これに対し、ビッグスリーは燃費の劣る大型車が主体。「いくら有能な人材が加わっても、商品構成が変わらなければ、ばん回は難しい」(米アナリスト)と厳しい見方が多い。
一方、トヨタへの影響は「販売躍進の立役者を失ったのは痛手」との指摘もあるが、「トヨタの強みは、個人プレーより組織力。人材が豊富で十分カバーできる」と販売面での影響は限定的との見方が強い。
むしろ、トヨタがゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて、世界首位に立つと、米国での風当たりが強まりかねない中、プレス氏らは「米国向けの顔として摩擦を防ぐ効果が期待されただけに、トヨタに逆風だ」(米ウォールストリート・ジャーナル紙)との懸念がある。08年の米大統領選では国内産業を保護する傾向が強い民主党政権が誕生する可能性があり、摩擦の「防波堤」を失った影響がじわじわと及んでくるかもしれない。