世界の金融市場で欧米に遅れをとる可能性も
野村は10年前、ロシア金融危機の影響で、米国法人による商業用不動産証券化事業などで巨額の損失を出し、98年9月中間決算では2300億円超の連結赤字に転落した。当時も欧米拠点の人員を大幅削減するなど国内外の大規模なリストラを余儀なくされている。
こうした苦い経験からリスク管理を強化してきたはずが、結果的には教訓は生かされなかった。記者会見した古賀社長は、「想定を超える市場変化に対するリスク管理が不十分だった」と述べ、市場の激変によるリスク回避の難しさを指摘し、弁明に努めた。
国内でサブプライムローンの証券化を手掛けてきたのは野村だけとされ、サブプライムに参入したこと自体、「野村の強さの裏返し」(市場関係者)ともいえる。しかし、今回の巨額損失に伴うリストラで、米国事業の見直しを迫られ、世界の金融市場で欧米の金融機関に遅れをとる可能性も否定できない。