日本経済新聞社は2007年10月22日、新しい「投資情報媒体」を立ち上げることを明らかにした。近く具体像を公表するが、週刊とみられる。これに関連して日経金融新聞の「行く末」が関係者の話題に上っている。「赤字で廃刊」すると断じた月刊誌もある。日経金融新聞はどうなるのか。
金融トレンドを追う「週刊」の新聞?
日経金融新聞と新媒体との関係はどうなるのか
日経金融新聞は、日本経済新聞社が平日の朝刊を発行している金融専門の「日刊紙」だ。20年前の1987年創刊で、日経のホームページによると部数は4万6,000部(05年後半平均)だ。読者層は73%が事業所で27%が個人世帯、だそうだ。日経MJ(流通新聞)は24万9,000部、日経産業新聞は16万7,000部で、部数で見る限り日経専門紙の中で「苦戦状態」だ。
日経関連会社幹部など複数の関係者によると、日経金融新聞を「日刊」として継続するのは「厳しく」、「金融トレンドを追う」新たな形を「週刊」として模索することになったという。
また、月刊経済誌「FACTA」(2007年11月号)は、日経が「来春、個人投資家向けのタブロイド週刊紙」を創刊すると報じた。位置付けについて「バブル崩壊以来、部数低迷で長らく赤字に悩んできた『日経金融新聞』の廃刊に代わる新媒体だ」と説明した。新週刊紙については、ページ数や定価の予定、編集長の実名や経歴まで挙げている。日経金融新聞の「廃刊」は規定路線として触れられている。
日経金融新聞の動向については、07年春にも週刊ダイヤモンド(4月28日・5月5日合併号)が「今年9月をメドに廃刊を検討している」と報じた。「新たな紙媒体の創刊を詰めている」とも記事は指摘していた。また、同誌の「9月22日号」では「当初、日経金融は9月をメドに廃刊が検討されてきたが、後継となる紙媒体がなかなか固まらなかったため先送りされてきた」とし、個人投資家も対象とする「週刊誌」の「創刊の浮上」に触れている。
金商法の影響で即日取材が困難に?
「苦戦」の要因について、07年春の週刊ダイヤモンドは、金融機関の数が経営統廃合の影響で減少したことを指摘し「結果的に広告収入などにも大きな影響を及ぼしていた」と分析していた。また、ほかの理由を挙げる金融関係者もいる。関係者によると、07年9月末から本格施行された金融商品取引法の影響も垣間見える。金商法は、銀行や証券会社などが金融商品の利点だけを強調するチラシやパンフレットを禁止している。投資型商品の販売についても顧客へのリスク説明だけでなく顧客の理解度の確認も求めている。金融関係者が金融動向に対してコメントするのにも細心の注意を払うことになったため、「取材を受けても即答するのが以前より難しい状況になった」と話す。こうした「金融分野における日刊の取材の困難さ」も日経金融新聞の先行きに影響を与えているのではないか、という訳だ。
日本経済新聞社はJ-CASTニュースの取材に対し、10月22日に文書で回答した。新媒体について「時代に合った新しいスタイルの投資情報媒体について具体化することを決めました」と明らかにした。しかし、日経金融新聞の休・廃刊の可能性や新媒体の詳細については「それ(新媒体の具体化の決定)以上のことは現時点では申し上げられません。11月にも具体的な姿を公表するつもりです」と触れるに止まった。
J-CASTニュースが日経新聞の経営企画室に、月刊誌「FACTA」報道を含め日経金融新聞の休・廃刊の可能性を再度取材したが「コメント以上のことは申し上げられません」とだけ回答した。