入社半年で「辞めたい」が40% 「仕事通じて成長できない」が理由

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   民間の人材サービス会社の調査によると、2007年新卒入社組のうち40%以上がすでに「会社を辞めたい」と思っている、という。07年の新卒者は「頑張り屋」で、「早く成長したい」気持ちはある。でも、会社に自分を成長させてくれる上司や先輩がいない、となると早く見切りをつける、ということらしい。ただ、転職しても、その会社に社員を育成する環境があるとは限らないため、結局転職を繰り返す、という危惧も出ている。

「もともと辞めるつもりで入社した」も40.3%

新入社員の4割が、もう「辞めたい」?(写真はイメージ)
新入社員の4割が、もう「辞めたい」?(写真はイメージ)

   調査したのは人材サービス会社のシェイク。07年9月に「入社半年後実態調査」をインターネットアンケートで実施。07年4月に入社して半年が経った社員409人(男性206人、女性203人)から回答を得た。それによると、新入社員の71.6%が「どこでも通用するような価値の高い人材になる」と答えたものの、59.4%の社員が自分の将来に不安を感じていて、「入社半年で会社を辞めたいと思った」人は43.5%いた。その理由は、「仕事を通じて成長しているという実感をもてていない」が51.9%、「やりたい仕事ができない」が48.1%、「上司の指示、指導方法が不満」40.4%という順だった。また、「もともと辞めるつもりで入社した」という人が40.3%もいた。

   同社が今回行ったアンケートの担当者は、J-CASTニュースに対し、07年度の新入社員は、仕事に前向きで頑張り屋が多いが、

「早く成長したいと焦っているのではないか」

と話した。大企業の倒産、リストラを知っていて、終身雇用制が崩壊していることもあり、「会社は一生自分を守ってくれない」「自分でなんとかしなければならない」という気持ちが強い。それが「どこでも通用するような価値の高い人材になる」ことを目指す要因になっている。「もともと辞めるつもりで入社した」というのも同じ流れの中にあり、会社はキャリアアップのために利用するもの、と考えていて、自分が納得できる仕事や職場を探す意識が強いのだそうだ。

   「なるべく安定した会社に所属する」という人は16.9%しかいない。つまりサバイバルを生き抜くという意識が強くなっている、というわけだ。そのために「早く成長したい」。しかし、今の会社では難しいから退職を考える。

   同社の担当者は、

「会社で、新入社員を育成する体制が崩れてしまっているから、新入社員は育たないし、新入社員は不安になり、焦り、辞めていく、という流れなんです」

と解説した。

新入社員「成長」させるマネージャーがいない

   新入社員を育成する体制が崩れてしまったのは、リストラで会社の人材が細り、じっくりと仕事を教えられなくなっているためだ。また、一気に社員を増やした会社では、育成経験のないマネージャーがたくさんの部下を抱えるようになり、それが影響している。さらに、成果主義での弊害で、プレイングマネージャーが増え、部下の育成を会社があまり評価しないことなどが原因としている。今回のアンケートでも、上司に対して「指示が不明確で、何をしたらよいかわからない」と答えた人が46.2%いた。

   「こんな上司の元では成長できない」と転職したものの、転職先も似たような状況という可能性もある。同社担当者はこう言う。

「仕事に対して前向きな頑張り屋である一方で、『会社を辞めても食べていける』という意識も強い」

   つまり、甘さもあるわけで、行き着く先はフリーターという可能性も高い。同社ではこんなふうに企業や新入社員に話しているのだという。

「会社側は改めて人材育成能力のあるマネージャーを置き、新入社員はそのマネージャーの経験に学べるようにする必要があります。一方、新入社員は与えられた仕事が気に入らなくても、そこに仕事の意味や価値を見出すような努力をしてほしい」
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