亀田大毅選手と父・史郎氏の「謝罪会見」を受けて、会見を主催した日本ボクシングコミッション(JBC)にまでファンから批判の声が殺到している。史郎氏が「反則指示」を否定し、早々に会見が打ち切られたことでファンの怒りが爆発。JBC事務局の電話は常に鳴り続けるパンク状態で職員もノイローゼ状態のようだ。
「あれで謝罪になるのか」といった批判
JBCは史郎氏の「反則指示」を「確認」してないという(JBCのHPより)
「スタイルはとりあえず、このままのスタイルはとりあえず、自分らのスタイルなんで、とりあえず、こういう反則行為のことはとりあえず指導していくつもりでいます」
2007年10月17日にJBCで行われた亀田大毅選手と父・史郎氏の「とりあえず」の謝罪会見は10分にも満たなかった。大毅選手に至っては終始無言で、わずか数分のあいだうつむいて座ったままで、「ここで大毅選手退出させてもらいます」との司会の声を合図に、JBC職員に抱えられるようにして出て行った。このとき会見の司会進行をおこなったJBC広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し次のように話す。
「事務局に謝罪に来たときから憔悴しきった様子だったので、長時間は無理だとJBCは判断していました。大毅くんは2,3質問を受けてから席を立つ予定でしたが、最初の質問から沈黙している状態。近くで見ていて口は動かしていたが、声にならないといった状況でした。これは早めに終わらせたほうがいいかなと・・・」
この担当者には、そこまで大毅選手の精神状態が鬼気迫った姿に映っていたようだ。しかし、無言で何も話さなかった状態で「謝罪会見」の場を後にしたことで、「あれで謝罪になるのか」といった批判も噴出しているのも事実。この担当者も「今にして思えば、たとえ無言でやり過ごしたとしても、記者の質問をもう2,3受けてから退室させればよかったのかもしれない。反省している」と話している。
しかし、それに加えて問題なのは父・史郎氏の発言の数々とJBCの曖昧藻湖な史郎氏への処分である。
「タマ打ってまえ」は「具体的に確認が取れていない」
史郎氏は会見のなかで、「タマ打ってまえ」といった「反則指示」を行ったのかという質問に対しては、「指示はしてません」と即答。「あとはどう捉えようが、そっち側は自由やけど、俺らは言うてません」と「反則指示」を報じたマスコミを批判する様子ものぞかせた。もちろん、問題の試合の映像では「反則指示」の音声が確かに聞き取れるのに、である。
東日本ボクシング協会は2007年10月15日の理事会で、史郎氏の「反則指示」の音声を確認し、史郎氏に対する「無期限ライセンス停止以上の処分」をJBCに要望。JBCも同日、史郎氏への「セコンドライセンスの無期限停止処分」が下された理由について、
「当該試合のチーフセコンドとして、亀田大毅選手にルール違反を惹起させる動作を行った責任」
と正式発表している。
史郎氏の「反則指示」の否定はJBCへの反発のようにも思えるが、JBCからは驚きの答えが返ってきた。J-CASTニュースがJBC広報に問い合わせると、「タマ打ってまえ」という指示については「具体的に確認が取れていない」と言うのである。
「(処分は)トータルで判断したもので、言動に限らずセコンドとしてトータルに判断したもの。大毅選手が反則をしたので動機としての責任、セコンドとしての責任について下したものだ」
としている。
「反則指示」の音声を確認した東日本ボクシング協会はどう思っているのだろうか。大橋秀行同協会会長はJ-CASTニュースの「反則指示はJBCは確認してないらしい」という指摘に対し、「そうですか」と述べた上で、「(『反則指示』があったのかなかったのかといった)話が出てくるかもしれませんが、コミッション(JBC)の判断に従います」と話している。
「正式な謝罪会見は協栄ジムがやるもの」(JBC広報)
「謝罪会見の話は終結した。あとは協栄ジムの問題」(大橋東日本ボクシング協会会長)
ともすれば、このままうやむやのまま終結してしまいそうなこの問題。改めて「謝罪会見」が行われることはあるのだろうか。
幹部によれば、JBCの電話はパンク状態で、事務局職員が「ノイローゼ状態」という。