「消費税アップやむなし」 自民党、大手新聞社に台頭

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   消費税の増税議論が一気に熱を帯びてきた。政府の経済財政諮問会議で「増税しないと今の医療・介護給付水準維持は無理だ」とする試算が示されたためだ。従来の経済成長重視「上げ潮路線」が「引き潮」になったのは、1カ月前の福田康夫政権誕生が関係している。大手新聞社も「増税やむなし」の姿勢が大勢で、選挙を理由にして増税議論を「封印」することはできなくなったようだ。

「逃げまくると評価はだんだん下がってくる」

増税論議を社説で展開する新聞各紙
増税論議を社説で展開する新聞各紙

   内閣府が2007年10月17日に経済財政諮問会議に示した試算は、現在5%の消費税を11~17%に引き上げる必要性を掲げた。2025年度時点で現在より財政を悪化させない前提で、医療と介護の給付水準を現状維持し、高齢化に伴う費用増加分をすべて消費税増税でまかなう場合の試算だ。

   小泉純一郎、安倍晋三両内閣では、経済成長率を上げることで税収を増やす「上げ潮路線」がとられ、増税議論は「封印」されていたが、福田首相は増税論議を進めていく考えを示している。党人事にも「増税シフト」が現われているという指摘もある。

   「選挙で負けるんだったら、ドーンと上げなくてはいけない」と消費税の「ドーン」とした税率アップの必要性を毎日新聞に語ったのは、自民党の与謝野馨・党財政改革研究会会長だ。強い発言力をもつことで知られる自民党税制調査会の小委員長でもある。10月17日朝刊のインタビュー記事で、消費税率引き上げについて「1%ずつ上げて選挙に負けていたらしょうがない」とし、「ドーンと」発言を続けた。さらに「(07年7月の)参院選ではみんな逃げたが、逃げまくると(政党の)評価はだんだん下がってくる」と消費税増税から「逃げない」考えを示した。

   与党にとって増税は、選挙前には「逃げたい」もののようだ。消費税導入直後の1989年の参院選で自民党が大敗したことは、「トラウマ」になっている。安倍前政権を幹事長として支えた「上げ潮路線派」中川秀直氏は、早速与謝野発言にかみついた。10月18日、「福田内閣退陣が前提、自民党下野が前提の議論だ」と町村派の会合あいさつで述べた。選挙で「受け」が悪い増税議論を強くけん制したものだ。ところが、同じ町村派の町村信孝官房長官は「耳ざわりのいい政策ばかり並べて選挙に勝つことが正しい基本的スタンスか」と18日の記者会見で与謝野発言に理解を示す発言をした。ほかに谷垣禎一政調会長も「増税派」とされる。財務省との「距離感」を指摘する声もあるが、与謝野氏ら「要職」3人と無役となった中川氏とを比べると、「増税やむなし派」が優位にも見える。

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