これまで「児童ポルノ」として摘発されると思われていたのは、少女の性行為の様子や、裸が写ったビデオやDVDだった。ところが、水着姿を映したDVDが「児童ポルノ」だとして、出版社のプロデューサーなどが逮捕された。「水着でも過激すぎる」と判断された。しかも、人気があるのはU-15と呼ばれる15歳以下なのだそうだ。
水着を着用した作品摘発は全国で初めて
アマゾンでは、今回問題になった作品は購入できなくなっていた
警視庁少年育成課は2007年10月16日、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)の疑いで、出版社「心交社」のチーフプロデューサー、有金慈青(ありがね・じせい)容疑者(34)ら4人を逮捕した。07年2月1日から3日にかけてインドネシア・バリ島で、都内の女子高校生(当時17)の水着姿を撮影、わいせつなDVDで制作したとされる。水着を着用した作品について同法を適用するのは全国で初めてだという。4人とも「児童ポルノではない」と、容疑を否認しているという。
問題とされたのは、同社が発売しているシリーズ「Teenな彼女。」の内のひとつで、07年4月に発売された。問題となった作品では、非常に小さいサイズの水着が出演者の局部に張り付き、「形状」が透けて見えたりしていたという。
心交社では、「U-15」(under 15)と呼ばれる、15際未満の少女が登場するジャンルを多数リリース、ヒットを収めているほか、9歳児出演のDVDを発売、議論を呼んだ。
さらに、10月17日放送の日本テレビ系ワイドショー「スッキリ!」では、関係者の話として
「16で熟女、18でババアと呼ばれます。U-15だと、売り上げが10倍です」
などと紹介している。
これを裏付けるかのように、同社のサイトに掲載された作品には、
「素朴な笑顔がまぶしい小学生ジュニアアイドルのスレンダーボディの魅力満載!」
「あいくるしさ満点☆(編注: 年齢)ひとけたジュニアアイドルの純真無垢な可憐Tバック!」
といった、幼さを前面に出したうたい文句が並んでいるものも少なくない。
「過激DVD」の販売自粛広がりそう
今回の逮捕の根拠となった、児童買春・ポルノ禁止法は、正式には「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」といい、同法律2条2項3号では、「児童ポルノ」の定義を
「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」
としている。非常に曖昧な定義だが、今回はこれを捜査当局が広く解釈、逮捕に至ったものと見られている。
今回問題となった作品の出演者は17歳で、U-15には該当しないが、前出のU-15のDVDの「サンプル画像」には、小さい水着を着た上での、いわゆる「開脚画像」などが多数確認できる。今回の逮捕で、これらが「児童ポルノ」と解釈される可能性も出てきたと言えそうだ。
このあたりの事情についてどう受け止めているのか、J-CASTニュースでは心交社にコメントを求めたが、
「今日は担当者が外出していて戻ってきませんし、仮にいたとしても、捜査中なので、当社としてはノーコメントです」
とのことだった。
今回の逮捕が「一罰百戒」で終わるのか、今後も逮捕が続くかは不明だが、業界に激震が走っているのは間違いなさそうだ。
実際、「アマゾン」で、今回問題となった「Teenな彼女。」を探してみると、検索結果一覧には表示されるものの、個別の商品ページにはアクセスできなくなっている。「過激DVD」の販売を自粛する動きが広がりそうだ。
その一方で、「ヤフーオークション」で今回問題となった作品を検索してみると、定価3,200円のものに、2万円の値段が付いていた。この分野の「需要」は健在のようだ。