中国と香港の国別時価総額の合計が2007年9月末、日本を抜き、米国に次ぐ世界2位の規模に達した。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げつきを発端として、8月には世界中の株式市場で株価が急落したが、厳格な資本規制でガードされた中国市場だけは例外的にサブプライム問題の影響を受けず、株価が堅調に推移した結果といえるようだ。「中国の影響力は今後もますます強まっていくだろう」(市場関係者)との声も強まっている。
1年で中国の時価総額は5倍に増える
中国・香港が世界有数の金融市場として存在感を増している
9月末現在の国別時価総額は、トップが米国の18兆5221億ドル(約2130兆円、世界シェア31.7%)。日本は2位で4兆7016億ドル(約540兆円、同8%)、3位は英国の3兆9877億ドル(約458兆円、同6.8%)と続く。
中国は4位で3兆3718億ドル(約387兆円、同5.8%)だが、6位につけている香港の2兆5837億ドル(約297兆円、同4.4%)を加えると、時価総額は計5兆9556億ドル(約684兆円、同10.2%)にのぼり、日本を約1兆2500億ドル(約140兆円)も上回った。
中国の昨年9月末の時価総額はわずか6613億ドル(76兆円)で、国別の順位も15位、トップ10にも顔を出さず、世界シェアは1.5%に過ぎなかった。わずか1年で中国の時価総額は5倍に増えたことになる。中国と香港の合計も昨年9月末は2兆222億ドル(約232兆円、4.5%)で5位の規模だった。
この夏、世界の市場はサブプライム問題の影響を受けた急激な株価の下落に震かんとなった。日経平均株価は7月9日に1万8261円 98銭と年初来高値をつけていたが、8月17日には1万5273円68銭と年初来安値に急降下。わずか1か月余りで、約3000円もの暴落だった。
日経平均株価の出遅れ感は否めず
これに対し、中国では人民元の為替政策や外国機関投資家に対する規制などにより、世界の市場とは別世界が作られている。さらに、中国国内では、年々積み上がる貿易黒字をはじめ、世界中から集まる投資資金や政府による「元売リドル買い介入」で、市場には元があふれている。こうした中、サブプライム問題で揺れる世界市場を尻目に、中国では順調に株高が維持され、着実に時価総額を膨らませた。
中国の時価総額の世界順位がアップした背景には、中国の厳しい資本規制があるとはいえ、中国が世界有数の金融市場として存在感を増しているのも事実だ。これに対し、日本の現状は厳しい。欧米やアジアの主要市場では、株価指数のほとんどが10月初旬までに年初比の上昇率がプラスで推移しているのに対し、日経平均株価はようやく年初のレベルに届いたに過ぎない。出遅れ感は否めず、市場では、世界市場での競争力確保対策を求める声が絶えない。