持続36時間のED新薬 早くもニセモノが登場

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   ED(勃起不全)治療薬と聞いて、まず思い浮かべるのは「バイアグラ」だ。バイアグラは「効き目は4時間」とされており、服用のタイミングに気をつける必要があった。ところが、国内で発売されたばかりの新型ED治療薬は、これまでの9倍の36時間効き目が持続するというのだ。ED市場の構造が大きく変動しそうな一方、すでにネット上では、偽物が登場、並行輸入も公然と行われており、製薬会社でも注意を呼びかけている。

   国内のED患者は1,130万人と推計されており、60代の5人中3人がEDだとされる。

服用のタイミング調整必要なし

「シアリス」の登場でED治療薬市場は変動しそうだ
「シアリス」の登場でED治療薬市場は変動しそうだ

   国内で発売されているED治療薬としては、米ファイザーが1999年に発売した「バイアグラ」と04年に独バイエルが発売した「レビトラ」の2つがある(レビトラは、バイアグラよりも速効性が高いとされる)。いずれも、効果が続く期間は4時間程度。これまでは、服用のタイミングを調整したり、効果が切れるまでに、半ば焦りながら性行為を終わらせる必要があった。

   そんな中、この「心配」を解消する新薬が登場した。米製薬大手のイーライリリーの日本法人が07年9月12日に発売した「シアリス」で、先行する治療薬の約9倍に当たる約36時間も効果が持続するのだという。さらに、従来の治療薬は、脂っこい食事をすると効き目が弱まるという「弱点」もあったが、シアリスでは、この影響も受けないという。 もっとも、これまでのED治療薬と同様、服用すると勃起し続けるという訳ではなく、性的興奮がないと勃起はしない。

   シアリスは03年に欧米で発売され、06年度の全世界での売り上げは約10億ドル。すでに100ヶ国以上で1,000万人以上が使用しており、そのうち20ヶ国以上でED治療薬のトップシェアを獲得している。

   購入には医師の処方箋が必要だ。気になるお値段だが、イーライリリーの日本法人に聞いてみると、

「自由診療(保険適用外)なので、各医療機関によってばらばらです。一概には言えません」

との答えが返ってきた。ただ、新聞報道(07年9月11日、朝日新聞)によると、

「初診で数錠を処方される場合なら1万円以上かかりそうだ」

とのことだ。

ネットでは1錠あたり1,900円弱というのが相場

   もっとも、「シアリス」というキーワードでウェブを検索すると、シアリスを処方してくれる医院の広告が目立つように表示されるが、「個人輸入」「直輸入」「純正品」といったうたい文句も目立つ。実際に、あるサイトにアクセスしてみると、「20mg錠28錠で 52,900円」

   というもので、他のサイトを見ても、1錠あたり1,900円弱というのが相場のようだ。さらに、シアリスのジェネリック医薬品(後発医薬品)も出回っており、こちらは20mg錠28錠で 33800円。1錠あたり1,200円強だ。

   これらのサイトには「服用は100%自己責任」との但し書きがある場合も多く、「危ない橋」という一面もありそうだ。イーライリリーでも、ED情報を提供しているウェブサイトで偽物などについて警告している。

「偽物の中には、異なる成分などが混入している恐れがあり、予測できない健康被害が懸念されます。インターネットなどでの個人輸入によるシアリス錠の安易な使用はお控えください」

と呼びかけている。

   シアリスの登場で国内のED治療薬の市場は大きく変動しそうだが、同社では

「売り上げの見通しや目標については、外部には公表しておりません」

としている。

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