「SAKE(サケ)」でかなり通用するようになった
日本酒はフランス人にとって、ボルドーの赤ワイン並みの知名度を獲得したのだろうか。100社以上が加盟する日本名門酒会(事務局・東京)にJ-CASTニュースがこう質問すると、「まだそこまではいっていません」という答えが返ってきた。同会の国際流通担当の清常一憲さん(62)によると、保守的な高級フランス料理レストランにも吟醸酒を置く店が出てきた。とは言え「ワイン並みに飲まれるかといえばそうじゃない」。やはり高級日本料理店で「高級」な純米酒や吟醸酒が飲まれているのが中心だ。消費される多くは純米以上のクラスのようだ。
それでも「この5、6年」で浸透してきたのは間違いない。物産展のような取り組みだけでなく、蔵元のHPの中にはフランス語版も備えたものもあり、情報発信力が強まったことを清常さんは指摘する。「日本のワイン」でも「米のワイン」でもなく「SAKE(サケ)」でかなり通用するようになったと胸を張る。
人気がある日本酒のタイプについては、淡麗辛口人気が先行したが「こくのある」タイプへも幅が広がりつつある。米国での傾向と似ている。フランスでの人気銘柄を質問すると「上善如水」「真澄」「浦霞」「司牡丹」・・・とすらすら出てきた。最近は「こくのある」タイプの「男山」(北海道旭川)も人気が出てきているそうだ。
清常さんは「誇り高い」フランス人相手の苦労話も明らかにした。生ガキを食べる際、白ワインより日本酒の方が生臭さを消しておいしい、と納得してもらおうと化学的な話も取り入れながら説得を続けても「カキを食べるときはこの生臭さがいいんだ」と言い張るフランス人も珍しくない。
とは言え、生ガキや魚介類と日本酒は合うという情報は、「食」に関心が高い人の間に広がりつつある。07年後半にかけて魚介類に日本酒を合わせるフランス人の姿を見かけることが「増えていくと踏んでいます」と自信を見せている。フランスを特別視する訳ではないが、「食にうるさい」印象のフランス人が日本酒を楽しむようになれば、「いろいろといい影響も期待される」。ボルドー並みかどうかはともかく「知名度を上げつつある」のは間違いないようだ。