歌うバーチャルアイドル「初音ミク」を特集した月刊誌が売れに売れ、発売後3日 (2007年10月9日)で出版社の在庫がゼロになった。オークションサイトでは07年10月10日、定価の3倍以上の4000円台の値が付くフィーバーぶりで、原因は、ミクの人気に加え、実際にミクを歌わせることができる体験版ソフトが付いていたためのようだ。
かなりの部数、刷り増ししてもこの事態
「初音ミク」を特集した雑誌が売れに売れている
ディスクトップミュージックの専門誌「DTMマガジン」は07年10月9日、こんなお知らせをホームページに掲載した。
「『初音ミク』を特集したDTMマガジン2007年11月号の弊社在庫分は完売しました。ありがとうございました。増刷の予定はございません」
発売日が07年10月6日だから3日間で売り切れたことになる。
同誌の発行部数は公称3万部。同誌を発行する寺島情報企画はJ-CASTニュースに対し、
「実数はいえませんが、通常より、かなりの部数を刷りました。当社に在庫はなくなりましたので、書店などで探してもらうしかありません」
そして、同社としても記録的な売れゆきになりそうだとしていて、その理由を、
「『初音ミク』の人気しかないでしょう」
と話している。
「初音ミク」は、クリプトン・フューチャー・メディア(本社:札幌市)が企画・制作し07年8月31日に発売したボーカル・アンドロイドソフト。ユーザーがパソコンでメロディと歌詞を入力すると、16歳のバーチャルアイドル「初音ミク」が歌ってくれる。その歌声は「アニメの萌え系」。ハモったり、ビブラート、ブレス(息を吸う)音まで付けられ、上手に入力できれば「もう人間の歌手なんていらねんじゃね?」などのカキコミがネット上に出るほど、驚きの歌声を披露してくれる。
発売直後から「ニコニコ動画」などで話題になり、通常なら年間で1000本売れれば大ヒットのジャンルにもかかわらず、発売後2週間で3500~4000本も売れ完売状態。07年10月10日現在で15000本売れている。
「DTMマガジン」11月号にはこのソフトの体験版が付いていて、インストールから10日間使えるようになっている。
定価1500円に対し、4500円以上というプレミアム価格
月刊誌発売から3日後にオークションサイトに出品されるのも珍しいが、定価1500円に対し、4500円以上というプレミアム価格になっているのも驚きだ。「ヤフーオークション」では07年10月10日現在で18冊出品されていて、最高値が4500円。売り手が値段を設定できる「Amazonマーケットプレイス」には同12冊出品され、設定価格は4600円~6000円だ。
これだけ人気なのだから増刷すればいいと思うのだが、増刷はしないのだという。今回の号は「ミク」のソフトが付いているため、増刷するだけで2~3週間かかり、ともすれば販売が翌月号と重なってしまい、記事自体も新鮮でなくなる可能性があるためだという。しかし、「ミク」の人気が本物だとわかったことで、「DTMマガジン」としては「ミク」の新しい情報を掲載し、特集などをこれからも掲載していく予定なのだという。