ハードがとにかく欲しいお客には新型を買ってもらう
PS3については、ソフト開発費に莫大なコストがかかるためソフト会社がPS3用にソフトを製作しにくい状況がある。さらに、ソフトが少ないゲーム機をユーザーが買わず、ゲーム機が売れないから、さらにソフト会社がソフトを製作しにくい、という悪循環が続く。SCEが自社で製作したソフトもあるが、PS3専用のタイトル数はさほど多くはない。
このような現状で、なぜかPS2のソフトが使用できない新型PS3を投入するという「奇策」に出たわけだ。
SCE広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、新型PS3投入の理由を「年末商戦にあわせてPS3フォーマット拡大のため、ソフト面・ハード面でのさまざまなニーズに応えるもの」と説明している。しかし、ソフト面ではPS3専用ソフトはPS2のそれと比べれば圧倒的に少ないのは明らか。この点については、
「20GB、60GBモデルもあるので、それと併売するというかたち。PS2のソフトについては、20GB、60GBを引き続きお使いいただきたい」
と述べており、その一方で07年11月からPS3専用ソフトの発売が相次ぐことを挙げ、「PS3のソフトウェアについても充実を図っていく」ともしている。
SCE側からすれば、ハードの価格を抑えたモデルを発売することで、ソフト面重視の消費者には従来モデルを買ってもらい、ハードがとにかく欲しい消費者には新型モデルを買ってもらおう。そんな作戦で苦戦しているPS3の販売台数を伸ばしたい、ということのようだ。
しかし、ゲーム業界関係者からは、
「ソフトがなければゲーム機は『単なる箱』というのはゲーム業界では常識。PS2ソフトとの互換性がないというのは、ただでさえソフトが少ないのだから、とんでもない話。価格に釣られて買った消費者は騙されたと思うのではないか」
といった批判も出ている。PS2ソフトが使えない新型PS3が果たして年末商戦で「巻き返し」の一歩になるのかは限りなく不透明だ。