TOBより迅速に子会社化できる
シティがあえて日興の子会社化に三角合併を用いたのは、「TOBより迅速に子会社化できる」(CJHのダグラス・ピーターソンCEO=最高経 営責任者)との狙いが大きいとされる。さらに、株式交換を行えば、現金を使わないですむメリットもある。シティは、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題に端を発した市場環境の悪化などから、07年第3四半期の純利益が前年同期比で約60%の大幅減になるとの見通しを発表したばかりで、シティの台所事情が背景にあるとの見方もある。
一方、国内の三角合併の第1号が、シティによる日興子会社化になることで、「経済界を中心に広がっていた三角合併への抵抗感はかなり薄れたのではないか」(市場関係者)との声も出ている。今後、日本企業が絡む国境を越えたM&Aが増加するのは必至とみられており、日興の事例をM&A関係者は「テストケース」として注視している。