「前回ほどの大ヒットになるかというとむずかしいかも」
新型だけではない。現行車の販売実績次第で新型の配車台数が決まるため、現行車の販売にしゃかりきにならざるをえない。その証拠に上半期の「フィット」は前年比7%減の4万64台を売り、登録車の第3位と大健闘なのだ。良くも悪くも今年はフィットの年というわけだ。ちなみに昨年は全ディーラーが軽を扱うことになり、期待の「ゼスト」が登場したことから軽一辺倒の一年だった。
毎年、軸となる車種を決めて盛り上げを図るのは悪いことではない。しかし、20以上ある商品の大半が"睡った"状態では販売を安定させることはむずかしい。 まして、縮小傾向の国内市場は大ヒットを生む余地が少なくなっている。登録車で20万台を超えたのは02年の「フィット」(25万790台)が最後である。
ホンダ幹部は新型「フィット」について「いい車に仕上がった」と自信を見せる。一方で「前回ほどの大ヒットになるかというとむずかしいかもしれない」とも話す。得意の北米を始め、中国、欧州など世界で成長し利益を稼ぐホンダには「日本市場は特殊だから…」(首脳)とホームマーケットにもどかしさがある。新型「フィット」の売れ行きはホンダのホームゲームを左右する。