沖縄戦で日本軍が「集団自決」を強制したとの記述が削除されたことに反対する沖縄での県民集会の「参加人数」をめぐって、朝日新聞と産経新聞が「意味不明の批判」「戦時中の大本営垂れ流し」と互いに批判しあう「バトル」を展開している。
「記者は何の疑問も持たなかったのでしょうか」
朝日新聞と産経新聞は紙面上で互いを批判しあう「バトル」を展開している
「拝復 朝日新聞論説委員さま」と始まるのは、2007年10月3日付産経新聞に掲載された「産経抄」。07年9月28日朝日新聞(夕刊)のコラム「窓」で「事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく」などと指摘されたこと受け、
「『事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく』ともご忠告をいただきましたが、その言葉はお返ししなくてはなりません」
と反撃。
9月30日付朝日新聞が1面で「沖縄11万人抗議」と大見出しをとって、沖縄戦での集団自決をめぐる教科書検定への抗議集会を報じ、10月2日にも「県民大会に11万人が参加した」などと報じたことについて、「どう数えれば11万人にもなるのでしょう」などと指摘。実際の参加者は「最大で4万3000人」だったとした上で、
「11万人は主催者発表の数字です。記者は何の疑問も持たなかったのでしょうか」
「主催者発表通りに集会の規模を2.5倍も誇大に報道する姿勢は、戦時中に大本営発表を垂れ流し続けた貴紙の過去とだぶってしまいます」
とまでこき下ろしている。
「自己矛盾としか言いようがない」
これにさらに反撃したのは2007年10月4日付朝日新聞のコラム「窓」。産経新聞は「参加者は4万3000人」と書いているはずなのに、産経は「撤回求め11万人集会」と社会面で見出しをつけて報じたことや、10月2日の「産経抄」で「11万人(主催者発表)が参加した」と書いていることを挙げ、
「自己矛盾としか言いようがない」
「きちんとした批判なら耳を傾けたいが、意味不明の批判には答えようがない。重ねての忠告で恐縮だが、事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく」
と産経を再批判している。 この点について、産経新聞はJ-CASTニュースの取材に対し、
「ご存知のように、主催者発表は実際より多めに発表されるのが常ですので、産経新聞はじめ各紙とも主催者発表の数字であることを明記しております。ただ、朝日新聞は10月2日朝刊の1面では、主催者発表であることを付記せず、『11万人が参加した』と、既定事実であるかのように記述しています。産経抄は、朝日新聞のこの点を指摘したもので、主催者発表であることを明示した産経新聞の紙面と矛盾したものではないと考えております」
と答えている。
さらに、2007年10月4日にはこんな横槍も入った。「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)は、集団自決に日本軍の強制や命令はなかったとして、文部科学省に検定意見の修正を行わないよう求める意見書を提出。県民大会の参加者「11万人」とする報道を「一大キャンペーン」と評し、「抗議集会の実数は2万人」とも指摘し、参加人員が大ごとになっている。