日本テレビの苦渋 「身内の巨人」より「バラエティー」

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   読売巨人軍が02年以来5年ぶりのセリーグ優勝を果たしたが、優勝の瞬間は地上波で放映されないという異例の事態が発生した。バラエティー番組の途中に小さな画面を挿入するにとどまったのだ。放映権を持っているのは「身内」のはずの日本テレビ。「野球よりもバラエティー」という流れが加速しているようだ。

巨人優勝の瞬間を地上波で生中継しなかったのは初めて

「身内の巨人」より「バラエティー」を選択?
「身内の巨人」より「バラエティー」を選択?

   巨人は2007年10月2日、東京ドームで行われた対ヤクルト戦に5-4でサヨナラ勝ちし、5年ぶり31度目(1リーグ時代を含めると40回目)のリーグ優勝を果たした。これまでの感覚で考えれば、優勝決定戦は当然生中継され、番組は延長された上で、そのまま夜のニュースに突入、「ビールかけ」も生中継される、というのが自然だったはず。ところが、今年はその常識がくつがえったのだ。

   この日の試合の放映権を持っていた日本テレビでは、19時から予定通り、バラエティー番組「踊る!さんま御殿!!」の2時間半スペシャルを放送。優勝が決まった直後の21時12分頃に「NNNニュース速報」として「巨人が5年ぶりにセリーグ優勝」というテロップを出し、同じ14分頃にL字形の画面が表示され、その中に優勝シーンのVTRが流れた。さらに、その約15分後に番組を中断、胴上げシーンや原監督のインタビューを約10分間放送した。

   この日の試合は、NHKのBS-1、CS放送「ジータス(G+)」、「BS日テレ」で生中継されていたが、地上波の受信設備しか持っていないファンは、優勝の瞬間を生で見ることはできなかった、という訳だ。

   日テレが巨人優勝の瞬間を地上波で生中継しなかったのは初めて。その経緯について、日テレ総合広報部では、各マスコミに対して

「特別番組が多い時期だということ加え、試合日程が09月に決まったばかりだったことから、地上波での中継は難しいと判断した」

などと説明しているという。だが、各マスコミは、この説明をストレートには受け止めていないようだ。スポーツ各紙は、巨人戦の視聴率が低迷していることを指摘。ペナントレース開幕直後の4月の平均視聴率(関東地区)が10.8%、優勝を争っているはずの9月でも9.3%にとどまっていることが尾を引いており、「スポンサーとしても、テレビ局としても、視聴率の取れるバラエティーを流した方が良いのでは」という見立てだ。ちなみに、「踊る!さんま御殿!!」は、10%台後半に食い込むことも少なくない。

波紋は、今年から導入されるプレーオフ制度にも

   「巨人戦凋落」の波紋は、今年からセリーグでも導入されるプレーオフ制度「クライマックス・シリーズ(CS)」にも及んでおり、日刊スポーツでは、東京ドームで行われる「第2ステージ」5試合(予備日を除く)のうち3試合しか日本テレビが中継しないことについて

「(巨人戦視聴率が)優勝争いの9月が9.3%では、『第2ステージ全試合放送』の決断は下せなかった」

と報じ、日テレは視聴率低迷が原因で試合放映を見送ったかのような書き方をしている。

   このあたりの真意を確認するため、同社の総合広報部に確認してみると、

J-CASTさんってウェブ媒体ですよね?現段階では紙媒体の取材にしかお答えしていないんですよ。色々検討はしているんですけれど」

との答えが返ってきた。

   ちなみに、優勝特番の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は13.8%だったのに対して、「さんま御殿」は13.7%だった。

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