出会い系も「結婚紹介」に進出?
一方で、サイトで結婚・見合い関係のサービスに登録したものの、「出会い系と何ら変わらない」という報告もある。高額のメール返信代を請求されるなどの被害があるという。経産省が報告書の中で詳しい分析から除外した「成婚を目的としていない事業者(いわゆる出会い系サイト)」に寄せられた苦情・相談は485件あった。結婚相談なのか出会い系なのか「紛らわしい」サイトが増えているということだ。
出会い系の「サクラ」対策のサイトは盛況だ。自身を「サクラ経験者」と名乗るものも多数登場し、「サクラっぽいメール文案集」や「危険なサイト一覧」などのページで「注意」を呼びかけている。お見合いパーティーのサクラと違う点は、女性のふりをする男性が男性向けにメールを送るアルバイトが報告されていることだ。もっとも多くのサイトで、注意点を挙げたり気を付けた方がいいサイトの名前を挙げたりしながら、「次のサイトは安心です」とやはり出会い系サイトを紹介するものが多い。しかし、実際は「安心」できないサイトもあり、これでだまされる客が多い、というのは常識だそうだ。
経産省の報告書を業界関係者はどう受け止めているのか。経産省などによると、業者数は4,000近くで7割は個人経営と見られる。業界団体として同省が唯一把握しているという「結婚情報サービス協議会」(東京都)にJ-CASTニュースが取材した。同協議会は複数の大手業者を含む5社で構成している。一部の業者に対する「サクラの苦情・相談」が報告されていることについて協議会担当者は、業界には多くの会社がある中、一部の例が結婚相談・情報業界全体の話と受け止められるとすれば「つらいし不愉快だ」と述べた。仮にサクラを利用したとすれば、信用問題に関わり発覚すれば「(会社が)潰れますよ」とし、「(サクラ利用は)考えられない」と強く否定した。協議会以外の業者はどうかと質問すると、「分からない。うわさレベルの話はできないし」と歯切れは悪かった。
しかし、サクラ以外にも苦情があることについては「少子化に歯止めをかけるためにも、結婚紹介の事業は社会的使命がある」とも述べ、契約の際の解約条件の説明を従来の文書だけでなく図も使って分かりやすいものにするよう準備を進めているという。
経産省は、報告書をもとに07年度中にトラブル防止の指針をまとめる。さらに業界側に対し、指針を基に優良業者の認定証を出す制度を自主的に作るよう促す方針だ。