総務省が2007年9月28日に発表した「労働力調査」(速報)によると、8月の完全失業率(季節調整値)は3.8%で、前月比0.2ポイント悪化した。男性は3.8%と前月比0.1ポイント悪化し、女性は3.7%と同0.4ポイント悪化。完全失業者は252万人で7月より16万人増えた。完全失業率が悪化したのは11か月ぶり。総務省統計局は「女性、なかでも15歳から24歳の若い女性の失業率が上がっています」(労働力人口統計室)と、失業率が悪化した原因を「女性の就労意欲」と話す。企業は採用を増やしているというのに、若い女性が職からあぶれているのはどうしてだろう。
8月の完全失業率の悪化は「女性」にある
若い女性の就職希望者が急増している(写真はイメージ)
総務省の調べでは、就業者数は前月比14万人減少して6395万人(季節調整値)だった。景気の回復基調で企業も採用計画を積極化していることで、このところの失業率は下がっていたが、8月は一転上昇した。
完全失業率を年齢別でみると、60~64歳男性の失業率が4.5%と最も高い。これは、いわゆる団塊世代の退職が始まっていて、就職を希望しても再就職先が見つからないケースが多いことを示している。前年同月比でも0.2%悪化していて、失業率の改善が進む男性の中にあって唯一悪化している年齢層にあたる。しかし、総務省の説明では「失業率の悪化への影響は限定的だと思います」という。
8月の完全失業率の悪化は「女性」にある。女性の失業率は、「15~24歳」「35~44歳」「45~54歳」の年齢層で対前年比で悪化していて、なかでも「15~24歳」の8月の完全失業率は8.4%で対前年比1.5%上昇している。失業者数にして25万人になる。
就職希望者が急増していて、採用者数が追いつかない
「企業の雇用意欲は引き続き旺盛といえ、採用は増えています。しかし、15~24歳の若い女性の就職希望者が急増していて、採用者数が追いついておらず、対応できないでいます」(労働力人口統計室)
つまり、いままで就職をあきらめていた若い女性が「就職したい」「働きたい」と活動し始めたことが原因だという。
たとえば、会社勤めしていた女性がキャリアアップするため、また雇用条件のいい会社へ転職するために退職。ところが次の就職先を決めずに退職してしまうケースや、資格の取得などを経て再就職先を探すケースがあって、なかなか思うような就職先を見つけられないでいる。これまで契約社員やパート・アルバイトで勤めていた女性が正社員をめざすケースも増えているようだ。
企業の求人は増えている。女性の生真面目さや、ポジティブな上昇志向がかえってアダになってしまっているのは、ちょっと気の毒な話にも聞こえる。