「アタシ、もうアベしちゃおうかな」――朝日新聞の紙面上でコラムニストが「流行語」として紹介したこの言葉をめぐり、インターネット上では大きな「騒動」に発展している。このコラムニストのブログには「捏造」を意味する言葉や批判のコメントが大量に書き込まれ、いわゆる「炎上」状態に追い込まれた。
コメントが16,000以上書き込まれ、「祭り」状態
「アベする」を紹介したコラムニストのブログが「炎上」してしまった・・・
「騒動」の発端は、安倍晋三前首相(当時は首相)が入院先の慶応大病院で記者会見し、突然の辞任を謝罪した翌日の2007年9月25日付朝日新聞の記事だった。
「『アタシ、もうアベしちゃおうかな』という言葉があちこちで聞こえる。仕事も責任も放り投げてしまいたい心情の吐露だ。そんな大人げない流行語を首相が作ってしまったのがカナシイ」
こんなコメントを同紙に寄せたのはコラムニスト・石原壮一郎さん。「(安倍前首相は)自分勝手な美学で情報を隠し、国民を混乱させた」とも指摘している。同記事は同紙の電子版「アサヒコム」でも9月25日0時02分に配信された。
この「アベしちゃう」に敏感に反応したのがネットユーザーだった。
ネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」には、同日に「『アタシ、アベしちゃおうかな』の言葉、あちこちで聞こえる…首相がこんな流行語作るとはカナシイと識者…朝日報じる」などと題されたスレッドが立ち、「朝日の安倍憎し、安倍叩きは異常」「アサヒりやがって」「>あちこちで聞こえる 『朝日の社内の』が抜けてる?」といったコメントが07年9月28日夕方時点で計16,000件以上書き込まれ、「祭り」状態にまで発展している。
なかでも際立っているのは、「アベしちゃう」は「流行語」ではなく、「でっち上げた」などとする意見で、「アサヒる」という言葉が様々なかたちに活用され、書き込まれているのだ。
さらに、Q&Aサイトでも、「『アベする』は流行語なのか」といった質問が複数書き込まれ、同様の理由で朝日新聞を批判するような回答がなされていたりもしている。
「雑誌の見出しにもなっていたし、何人からも聞いた」
さらに、「アベしちゃう」を「流行語」として紹介した石原壮一郎さんのブログのコメント欄にも「石原さん、今回ちょっとアサヒりすぎましたね」といった批判や罵詈雑言が大量に書き込まれ、その数は07年9月26日夕方時点でコメントの上限である500にまで達する「炎上」状態にまで発展した。
では、「アベする」はその時点で、はやっていなかったのか?
石原さんはJ-CASTニュースに対し、「アベする」という言葉を「流行語」と紹介したことについて、
「(「アベする」を聞いたのが)朝日新聞社内というこということではない。何だったのかは覚えていないが雑誌の見出しにもなっていたし、何人からも聞いた」
と述べている。また、自身のブログが「炎上」していることについては、次のように述べている。
「たくさんのエネルギーを使っていただいて」
「私が何かを言ったところで、書き込んでいる人には届かないと思うので、何も言うつもりはありません」
「アベする」という言葉をインターネットで検索しても、9月25日の朝日新聞以前に書かれたものは極めて少ない。Q&Aサイトで「流行語大賞候補」に「アベする」を挙げる書き込みがあり、さらに大阪本社版と思われる9月19日朝日新聞の「かたえくぼ」で「アベする」が紹介されている。「アベする」がまったく存在していなかったということでもなさそうなのだが・・・