「宮崎のセールスマン」になると言って、テレビに出まくっている東国原英夫知事(50)。ところが、そのまんま偽ブランドのセールスマンになっていた。宮崎の2卸売業者が、知事のイラストシールを貼って台湾産のウナギを宮崎産と偽っていたとされる問題だ。県議会では、ところ構わずマスコミに顔を出す知事に批判の声も上がっている。
県議会の追及で知事は防戦一方
偽装ウナギやマスコミ出演問題の対応に追われている宮崎県の東国原英夫知事
ウナギを偽装して販売していたのは、宮崎市内の卸売業者の「石橋淡水」と「原田穂積商店」。偽装問題は2007年8月下旬にテレビ朝日が報じてからすでに繰り返しメディアに取り上げられており、宮崎県は2007年9月25日、ようやく2社の名前を公表した。県と農水省では、産地表示を義務付けた日本農林規格(JAS)法に違反する疑いがあるとして調べている。
この日は、宮崎県の9月定例県議会も開かれており、東国原知事は早速、質問の矢面に立たされた。環境農林水産常任委員会の委員からは、「初動からの認識が甘かったのでは」などと追及され、話術に長けた東国原知事もたじたじの様子。メガネを鼻先まで垂らしながら、「対応がスピード感に欠けた印象はあるが、偽装が行われているかは確定していなかった」と防戦一方だった。
特に、問題とされたのが、偽装ウナギに東国原知事のイラストをあしらったシールが貼られていたことだ。このシールは、知事とかつて「ツーツーレロレロ」というお笑いコンビを組んでいた「大森うたえもん」こと大森博文氏(48)が経営する宮崎市内の企画会社「びっきょ」が管理しており、2社による使用申請を受け付けたものだった。知事は、産業振興に役立ててほしいとして、どの業者にもイラストの使用を認めている。
当初、東国原知事は、偽装ウナギにイラストが使われたことについて、自らの公式サイトの9月21日付「そのまんま日記」で、「別に県が推奨したとか、僕がお墨付きをしたということは無いのだが、一般消費者には、どうしてもそういうイメージで受け止められる」と逃げ腰だった。しかし、県議会で、「シールを貼る商品の品質管理に県はかかわるべきではないのか」などと追及され、知事は25日の議会で一転、「イラスト管理会社に(使用業者が)不適合と判断されるときは、使用取り消しの措置を取るよう申し入れる」と答えざるを得なくなった。「びっきょ」でも、これを受けて、2社に対してイラストシール使用禁止を伝えている。
「知事としての実績や品格が問われる」
東国原知事は、テレビで地鶏などの宮崎県産品を紹介したり、コンビニエンスストアと組んで県産品フェアを開いたりしていた。「東国原ブランド」の知名度で県産品の人気が上がり、県庁隣の「みやざき物産館」における07年8月の売り上げは、税引き後9984万円と前年同月の7.2倍に達した。地鶏の炭火焼パックは、なんと15倍にもなった。しかし、東国原ブランドの失墜と見直し方針で、あやかり商売の特需も終焉しそうな雲行きだ。
バラエティー番組に出る知事の姿勢も、県議会から疑問の声が上がっている。9月12日の代表質問では、愛みやざきの松田勝則議員から「知事としての実績や品格が問われる。品位を欠く表現も見受けられる。マスコミ活動をどう考えるのか」と突きつけられた。知事は、知事選のマニフェストで「今までの人脈や経験を生かし、メディア等において、全力で宮崎をPRする」と公約しており、14日付「そのまんま日記」でも
「先日、志村さんの『バカ殿』から依頼が来た(笑)。県知事が『バカ殿』の中でどういう役で出演するのか?(笑)。近隣の宮崎城の城主くらいかな?」
などと冗談も漏らしていた。
ところが、18日の議会でもマスコミ対応への批判が出て、終了後、報道陣に「今後、PRの仕方を自分なりに考えていく」と路線変更を示唆したともとれる発言をした。
東国原知事は、こうした問題に頭を抱えている様子だ。24日付「そのまんま日記」では、
「『痔』や肘痛、足腰は慢性的疲労、おまけにうなぎの偽装問題で激しい追求を受け、身も心もボロボロである。
正に、満身創痍」
と愚痴をこぼしている。