モノの値段が上昇している。日清食品は17年ぶりにカップヌードルの希望小売価格を155円から170円に引き上げ、キューピーマヨネーズも17年ぶりに、2007年6月の出荷分から各サイズのマヨネーズを一律10%値上げした。ハウス食品は「バーモンドカレー」などのルー製品を、11月から10%引き上げると発表。いずれの理由も、原材料の値上がりと原油価格の高騰による輸送コストの値上がりなどをあげている。いまのところ値上げの動きは食品や外食産業が中心だが、この動きが広がれば、いよいよ「インフレ」の到来だ。こうした局面に強い株式はなにか?
イオンは安売り攻勢
この局面で強い株はどれだ(写真はイメージ)
値上げは幅広く、勢いを増している。飼料の値上がりで畜産品の価格も値上がり、コーヒーや冷凍食品、ファミリーレストランの「すかいらーく」なども10円程度値上げした。航空運賃やタクシーも値上げを申請。王子製紙は印刷用紙を値上げした。
価格上昇、買い控え、在庫過多...モノの値段が上がっていく際に、値上げを転嫁できないと利幅も狭まり企業はつらくなる。なかでも、それが顕著に現れるのが卸売業者や小売業者。そうした中で、流通大手のイオンは8月7日から12月末まで、原油高を理由とする値上げが懸念される約100品目の値上げを「凍結」すると発表した。通常価格より2~4割安い価格を設定し、それを維持するという。
「インフレは、ある時点までは多くの業種の業績にプラスになる場合が多い」と、エース証券リサーチ本部の執行役員副本部長・坪内建氏は話す。仕入れ値と売り値の差が拡大し、利益率が改善。また在庫評価益が拡大することが理由だ。もちろん、売り値を上げられないと企業の業績はマイナスになる。
期待は「資源・エネルギー」や「海運業」
J-CASTニュースは坪井氏に、モノの値段が上昇傾向にある時機に注目されるセクターを聞いた。「原油価格、金価格、CRB指数(国際商品先物指数のこと、インフレの先行指数として注目されている)、海運市況などの上昇には、新興国の旺盛な需要という構造的な要因が背景にあります」とし、資源・エネルギー、金、非鉄金属、海運業をあげた。
ちなみに、9月25日現在の商船三井の株価は1842円で前日比81円高。川崎汽船は1716円で同81円高。日本郵船は1116円、同25円高だった。いずれも、8月17日の米サブプライム・ショックによる大幅な下落以降は、なだらかな右肩上がりで推移している。商船三井と川崎汽船は、荷動きが好調な欧州へのコンテナ船運賃を、今年4月に次いで2度目になる値上げを10月から実施する方針。荷主との交渉も強気で臨んでいる。