米国の信用力が低い個人向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きに端を発した世界的な金融市場の混乱が続いているなかで、アジア開発銀行(ADB)は2007年9月17日、日本など先進国を除くアジア・太平洋諸国・地域の2007年の経済成長率の見通しを3月末時点の7.6%から8.3%に上方修正した。米国経済が減速すればアジア経済への影響も避けられないとしたが、牽引役の中国やインドに加えて、東南アジアなどの幅広い地域で投資、消費が拡大しているのが、上方修正の理由という。欧米の経済に急ブレーキがかかっているなかで、アジア株はまだイケるのか。
成長率低い日本株への投資は失敗か
アジア株はまだ伸びるのか(写真はイメージ)
中国10.0%、インド8.0%、ロシア6.4%、香港5.4%、韓国4.5%、台湾4.3%、東南アジア(ASEAN域内)5.6%・・・これはADBが3月27日に発表した07年の実質国内総生産(GDP)成長率の予測。日本やオーストラリアを除くアジア太平洋地域の平均は7.6%と予測した。
しかし、サブプライム問題に火がつく3日前の8月6日には中国・新華社電が、中国の07年の経済成長率は11.3%になるとの見通しを明らかに。そして今回、ADBがアジア・太平洋諸国の経済成長率の平均を8.3%に上方修正した。勢いは持続している。
経済成長が順調なのだから、株価も順調に推移していると考えるのは一般的。新興国は政治や社会不安への注意が必要ではあるが、それに目をつむっても高い経済成長率に賭けてみる手はある。
実際に、外国株式投資信託の上昇率は中国株を組み込んだチャイナ・ファンドをはじめ、いわゆるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)に投資するファンドは軒並み2桁、勢い100%超の上昇率をみせる。
反対に、日本の経済成長率は2.3%、米国2.2%、フランス2.0%、ドイツ1.8%と予測されている。してみれば、経済成長率の低い日本の株式投信が乱高下する株価に翻弄されたのもうなずける。
長期投資に立てば、サブプライム問題の影響はない
さわかみファンドの澤上篤人氏は同ファンドの受益者向けのレポートで、サブプライム問題で株価が大きく下げているいまは、「大バーゲンセールが開催されている。となれば、今ここで買い出動しない理由はない」としている。
株価は買いが増えれば上昇するし、売りが殺到すれば急落する。市場の価格変動に右往左往せず、「5年でも、10年でも応援しようという企業だけを選んで、安く買って高く売る投資の基本をしっかり抑えている」という長期投資のスタンスを説く。
9月18日付の週刊SPA!は、「いきなり海外投資入門」を特集。海外投資で成功した個人投資家5人に経験談や極意を聞いている。そこに登場する国は、中国、タイ、シンガポール、インド、ベトナム、ドバイ、モンゴルなど経済成長が期待される新興国ばかり。登場した投資家はこうした国の個別銘柄やファンド、外貨に投資している。しかも案外どっしり構えた中長期での運用スタンスをとっていて、優雅に海外旅行を兼ねて現地へ赴いた際に投資したりしている。